管理人のイエイリです。
ビルの空調システムは最近、BAS(ビルディング・オートメーション・システム)と呼ばれる中央制御システムでコントロールされています。
しかし、細かく見るとボイラーや冷凍機などの熱源機器、循環送水ポンプ、ファンなどの制御方法が古いため、必要以上に運転され、エネルギーの無駄が多いのが現状です。
そこで、NTTファシリティーズは既存の空調設備をほぼそのまま使って、省エネ化を図る新水冷式空調制御システム「SmartStream-X」を開発、このほど販売を開始しました。
その省エネ効果ですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
最大で40%も削減
できるのです。
制御対象の機器は(1)冷却塔の流量を調整する冷却水ポンプ、(2)熱源機器の出力と空調機へ送水する2次ポンプ、(3)空調機で使用した水を冷却塔に送る1次送水ポンプ、そして(4)空調機のファンです。
従来の制御盤に、人工知能を持つ制御装置を新たに組み込むことで、各機器の情報を3G回線のネットワークで共有し、連携させることで無駄のない運転を行うことができます。
このシステムは、約15施設で導入され、平均3割の省エネ実績のある水冷式空調制御システム「SmartStream」と同じ機能を、ユーザーが導入しやすいようしたものです。
上記4つの制御をいきなりすべて取り換えるとなると、初期投資が多くなるので心配ですが、このシステムは
4段階に分けて導入
することができるので、まずは消費エネルギーが大きな機器を対象に導入してみて、効果が確認できたら順次、別の機器にも導入を拡大していくことができます。
■表1.SmartStream®-Xの制御内容と省エネ効果
対象設備 | 制御内容 | 省エネ効果の目安 | 最大削減効果の目安 |
---|---|---|---|
①冷却水ポンプ | 熱量に応じた流量にポンプを常に調整 | 5~10% | 10% |
②2次ポンプ | 居室の環境に合わせてポンプ流量を調整 | 5~10% | 20% |
③熱源機・1次ポンプ | 2次ポンプに合わせて稼働状況を最適化 | 5~10% | 30% |
④空調機 | 居室の環境に合わせて空調機の風速を調整 | 5~10% | 40% |
NTTファシリティーズではこのシステムをクリーンルームや病院、大型将棋用施設などに提案し、2017ねんどまでに累計売上げ36億円を目指しています。
既存の設備はそのままで、制御部分だけを改善すると省エネ化が実現できるとは、意外ですね。これも空調設備界の「IoT(Internet of Things)」の実例と言えそうです。