じわじわくる盛り土の危機!大林組と岩崎がメール警報システムを開発
2016年4月15日

管理人のイエイリです。 河川や道路などで行われる盛り土を、軟弱地盤の上で行うとき、気をつけなければならないのは、すべり崩壊や過度な沈下による盛り土の破壊です。

すべり破壊による盛り土の崩壊イメージ(以下の資料、写真:大林組、岩崎)●

すべり破壊による盛り土の崩壊イメージ(以下の資料、写真:大林組、岩崎)

過度な沈下による盛り土の崩壊イメージ

過度な沈下による盛り土の崩壊イメージ

しかし、現場に土砂を盛っていく作業に比べて、沈下やすべり破壊の前兆となる変化は、とても小さく、ゆっくりした動きで   じわじわくる   ので、気付いたときには崩壊が始まっていた、ということになりかねません。 そこで、大林組(東京都港区)と岩崎(札幌市)は、盛り土による軟弱地盤の動きを自動的に計測する「無人動態観測システム」を共同開発しました。 盛り土の上には沈下量を追跡する視準点、盛り土の脇には水平変位を追跡する視準点を一定間隔ごとに設置し、それを自動視準型のトータルステーションで自動的に計測するというものです。

軟弱地盤の無人動態観測システムの全体イメージ

軟弱地盤の無人動態観測システムの全体イメージ

沈下計測用の視準点

沈下計測用の視準点

自動視準型のトータルステーション

自動視準型のトータルステーション

このシステムで継続的に沈下量と水平変位を自動計測しながら、盛り土に異常な動きがないかを判定する安定管理図と、沈下量の予測値と実際を比較する沈下管理図を自動作成します。 盛り土の施工が進むにつれ、視準点を高く付け替えても、トータルステーションは自動的に視準点を探して計測を続けてくれるようになっているので、手間がかかりません。 これまで大林組は、施工管理者が手作業で計測や管理図の作成を行ってきましたが、多くの時間がかかっていました。今回の自動化により、測量コストは約3割削減できるとのことです。 自動作成した安定管理図で、計測値がすべり崩壊が発生する危険領域に入ったときには、施工管理者の   携帯電話に通知メール   を送信し、危険がじわじわと迫っていることを知らせます。 このメールにより、盛り土の施工を一時中止したり、盛り土の横に「押さえ盛り土」を行って崩壊を食い止めるなどの初動対応を迅速に行えます。 このシステムがあれば、施工管理者は安心して盛り土の締め固め管理や工程管理などに集中できそうですね。 大林組と岩崎は今後、さまざまな工事にこのシステムを積極的に導入し、施工の生産性向上を図っていくそうです。

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