管理人のイエイリです。
鹿島は2016年7月、岩手県釜石市で施工中の国道45号唐丹第3トンネル工事で、NATM工法を使った大断面トンネル(掘削断面積110m2以上)として国内最高記録となる月間掘削距離270mを達成したことを、同年8月25日のプレスリリースで発表しました。
そして、この月進記録を達成した秘密が、昨日(2017年2月2日)の同社プレスリリースで明らかになったのです。
ドリルジャンボで発破用の孔を開ける際に
ナ、ナ、ナ、ナント、
新しい削孔誘導システム
が開発、導入されていたというのです。
同社が演算工房(本社:京都市)が共同開発した「MOLEs(モールス)」というシステムで、ドリルジャンボの運転席に搭載したモニター上に、切り羽の映像とともにドリルの位置や角度を示してくれるものです。
オペレーターは画面に表示された位置にドリルロッドを合わせ、画面上に指示された深さまでドリル掘削を行うだけで高精度な削孔が行えます。
このシステムを導入した国道45号唐丹第3トンネル工事では、2台のドリルジャンボの発破進行長(一度の発破で掘削する長さ)が25%も向上し、月進270mの記録達成に大きく貢献したそうです。
言い換えれば、無駄な余掘りを行う「施工の無駄」やドリルジャンボ同士の「手待ちの無駄」などがなくなり、2台とも最大限に掘進できたというわけですね。
山岳トンネルの削孔作業で難しいのは、切り羽面がでこぼこしている上、斜め方向に孔を掘る必要があることです。
そのため、仮想切り羽面を基準に削孔位置を基準にドリルの位置を合わせても、実際の切り羽はその前後にあるので削孔位置や深さがずれてしまいます。
この問題を解決するため、ドリルジャンボには鹿島独自の
3Dスキャナー技術を搭載
し、切り羽面の形状を3Dデータとして計測しています。
切り羽面を3Dスキャナーで計測し、実際の切り羽面を3D座標として把握した上で、削孔の位置と角度を計算し、モニター画面上に表示します。
MOLEsシステムは汎用型のドリルジャンボに後付けすることも簡単にできます。山岳トンネル工事の生産性はこれからも上がって行きそうですね。