熊本城の復旧過程をVR化!熊本大学と凸版印刷が連携
2017年6月6日

管理人のイエイリです。

2016年4月に発生した熊本地震で、熊本城の石垣は約3割に崩落や膨らみなどの被害を受けたほか、建物自体も大きく損傷しました。

熊本城の建物や石垣を地震前の姿に戻すためには、約20年が必要と言われています。

そこで、熊本大学大学院先端科学研究部と凸版印刷は2017年5月1日に連携協定を締結し、この復旧作業をサポートしていくことになりました。

石垣から崩落した数万個の石材1つ1つについて、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

元々、どの位置にあったのか

 

を推定するという、途方もない作業を行おうというです。

この復旧の手がかりとなる貴重な資料を持っていたのが、凸版印刷です。

同社は2011年に開設された熊本城の歴史文化体験施設「城彩苑 湧々座」で公開するため、VR(仮想現実)作品「熊本城」を制作した経緯があり、そのとき被災前の熊本城の櫓(やぐら)や石垣などの写真を撮影し、約4万点ものデジタルアーカイブデータを残していたのです。

一方、熊本大学はコンピュータービジョン技術を使って、崩落した石材とデジタルアーカイブデータをマッチングさせる「石垣照合システム」を開発しました。

両者のデータとシステムが連携することで、崩落した1つ1つの石が、石垣のどこに積まれていたのかを突き止めようというのです。

地震前のデジタルアーカイブデータと石垣照合システムによって、1つ1つの石材の元位置を推定するワークフロー概念図(資料:凸版印刷)

地震前のデジタルアーカイブデータと石垣照合システムによって、1つ1つの石材の元位置を推定するワークフロー概念図(資料:凸版印刷)

また、熊本城の復旧工事中、一般の人は城内への立ち入りが規制されます。そこで熊本大学は、被災直後の熊本城の様子や、復旧過程の写真や映像、測量成果などのデジタルデータを集積、公開を推進します。

凸版印刷は、独自の広域空間のアーカイブ手法やVR技術などのノウハウを活用し、立ち入れない城内の様子を

 

VR作品で可視化

 

し、復旧過程を観光資源として活用するための効果的な公開手法を開発するとのことです。

大きな被害を受けた熊本城の建物や石垣が、最先端技術で元通りに復元されていく過程は、建設関係者だけでなく一般の観光客にとっても大きな関心事でしょう。

危険で立ち入りが難しい場所も、VR作品にすることで誰もがそこに行ったかのように、原寸大でリアルに経験できるのは素晴らしいことです。

建設業界のPRにも、この手法は大いに参考になりそうですね。

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