管理人のイエイリです。
最近のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の普及により、従来の2次元CADは建設業界の中で“ごく普通の道具”になってきた感もあります。
しかし、まだまだ進化は続いています。グレバートジャパン(旧ジェイドラフ)が近く発売するDWG互換CAD「ARES Commander」は以前、「JDraf」という名前で発売されていた製品の後継版ですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
マルチプラットフォーム化
による進化を遂げたのです。
マルチプラットフォームとは、DWG形式の図面ファイルをクラウドに保存しておいて、オフィスではデスクトップパソコン、出張先ではノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどで同じ図面ファイルを見たり、修正したりできるようにしたものです。
ワープロや表計算ソフトなどのビジネスソフトに例えると、マイクロソフト「Office 365」のようなものですね。
まずデスクトップやノートパソコンでの使用ですが、Windows版のほかMac OS版、Linux版も用意されています。そのため、Macを使い慣れた人は、MacのOSのまま使えるので作業もスムーズに行えますね。
Windows版 | Mac OS版 |
また、タブレットやスマホで使うモバイル版の「ARES Touch」は、iOSとAndroidに対応しており、「ARES Commander」をサブスクリプションしているユーザーは無料で使えます。
モバイル版でもDWGファイルを開くのはもちろん、注釈の記入や図面修正のほか、新しい図面を作ることもできます。タブレットやスマホならではの指タッチによる軽快な操作が行えるので、現場での図面活用に便利ですね。
DWGファイルを保存するクラウドは、「Dropbox」や「Google Drive」、マイクロソフトの「One Drive」などを自由に選ぶことができます。
面白いのは、図面の検索機能です。多数の図面が複数のクラウドに分散して保存されている場合でも、各クラウドを串刺しにして検索できるのです。「あの図面はどこのクラウドに保存したっけ?」と悩むことなく、スピーディーに目的の図面が見つけられるのは便利ですね。
出張先などにパソコンやスマホを持って行くのを忘れてしまったときは、これまでなら図面を使った作業はあきらめるしかありませんでした。
しかし、「ARES Commander」では最後の手段として
WEBブラウザー
を使うという手段が残されています。
「ARES Kudo」というWEBブラウザー版のソフトで、マイクロソフトの「Edge」やグーグルの「Chrome」のほか、「FireFox」、「Safari」といったWEBブラウザーさえあれば、クラウドを通じて図面の閲覧や修正などが行えるのです。
いざとなれば、ホテルで貸し出してくれるノートパソコンや空港に設置されている時間貸しパソコンなどでも、図面を使った仕事ができます。まさに、世界中どこでも「CADを持ち歩く」という感覚ですね。
気になるお値段ですが、「ARES Commander」のスタンドアロン版が8万2000円(1ライセンス・税別。以下同じ)、1年ライセンス版が2万8000円、サブスクリプションが年間1万5000円となっています。このほか、ライセンスをネットで管理するネットワーク版も用意されています。
すっかり普通のツールになった感のある2次元CADですが、マルチプラットフォームやクラウド化により、いつでもどこでも使えるようになることで、紙の図面を持ち歩く手間からますます解放されそうですね。