管理人のイエイリです。
構造物や生産設備などの点検は、「近接目視」が基本ですが、なかには難しいものもあります。
石油化学工場などにあるフレアスタックもその一つです。「フレアチップ」という燃焼装置をつけた煙突のような設備で、常に先端から炎を上げているので、稼働中、人間はなかなか近づけません。
これまでは地上からの目視によってフレアチップの状態を確認していましたが、地上からだと死角があったり、細かい部分まで見えなかったりしました。
そこでドローン界のベンチャー、テラドローン(本社:東京都渋谷区)とコークアジアパシフィック(本社:東京都品川区)ジョン・ジンク事業部は、ある大手製油所の燃えさかるフレアスタックを
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローンで5mまで接近
し、高解像度の写真や動画を撮影することにより、これまで見えなかった部分の点検に成功したのです。(テラドローンのプレスリリースはこちら)
横方向のズームレンズで撮影した画像から、塗装の劣化や錆、ボルト部の腐食状況などを、高精度で把握することができました。
そのため、次回にプラントの運転を止めて行う定期修繕時に、どのような補修を行えばよいのかをあらかじめ準備しておくことができ、プラント停止も最低限に抑えることができます。
今回の点検に使用したドローンは、DJI製の「Matrics210 RTK」という機種で、GNSS(全地球測位システム)から高精度の座標データが得られる「RTK補正機能」を搭載しています。
またドローンに搭載したDJI製のカメラは、普通の写真や動画だけでなく、
赤外線撮影
も行えるため、見た目だけではわかりにくい異常箇所も詳細に把握することができました。
このほか、テラドローンは、東京電力ベンチャーズとゼンリンが取り組む「ドローンハイウェイ構想」に、同社のドローン運行管理システム「Terra UTM」を連携させる実証実験も行いました。
送電設備に取り付けた気象観測機器からのデータを運行管理システムで利用し、「強風」に認定した場合は、「Terra UTM」によってドローンを自動的に安全なエリアまで退避させるというものです。(テラドローンのプレスリリースはこちら)
これまではできるだけ障害物のないところでドローンを飛ばすというのが基本でしたが、これからは構造物に近づき、衝突を回避しながら飛行させる技術も進化していきそうですね。
今回、製油所という安全に最も配慮しなればいけない場所でドローンを飛ばし、燃えさかるフレアスタックの点検に成功したという事実ができたことにより、今後、さまざまな構造物点検におけるドローン活用に拍車がかかりそうです。