管理人のイエイリです。
生コンクリートの品質管理で、重要なのが「スランプ」値を許容値以内に保つことです。そのスランプ値の測定方法は現場で荷下ろしした時に抜き取り検査として行われるのが一般的でした。
穴の空いたバケツをひっくり返したような「スランプコーン」に生コンを詰め、コーンを引っ張り上げることで生コンの山の中心が何センチ下がるかをスケールで計測する方法です。
ところが、鴻池組が茨城県内で施工中の土浦労働庁舎の工事現場では、生コン車が現場に到着した段階で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
スランプ値がわかっている
のです。(鴻池組のプレスリリースはこちら)
念のため、現場で生コンを荷下ろしし、従来の方法で測定しても「あ、予想していたのと同じだわ」といった感じになるでしょう。
その理由は、この現場に出入りする生コン車のドラム内には、「プローブ」が全車に取り付けられており、ドラムを回転させるとプローブに生コンが当たり、その圧力からスランプやコンクリート温度を測定できる仕組みになっているからです。
特に日平均気温が25℃を超える夏場は「暑中コンクリート」として施工する必要があり、生コンの練り混ぜ開始から打設終了まで1.5時間以内に行う必要があります。
その間、交通渋滞や打設待ちの間、生コンが硬化をはじめてスランプが低下しないかと、ドライバーや工事関係者は心配になりますが、リアルタイムでスランプがわかると安心です。
そしてスランプに異変の兆候が見られたら、先に打設することで廃棄生コンを減らすなど、品質やコスト、環境保全にとって有効な手段がとりやすくなりますね。
またこの現場では、RI法(中性子線やγ線の透過量を計測)によって、単位水量も連続測定しており、プローブシステムによるスランプ計測と合わせて、高品質な生コン打設を実現しています。
鴻池組では今後、この「プローブシステム」をGPS車両管理システムを統合して、生コンの現在位置とともにスランプや温度をリアルタイムに管理できようにする予定です。
生コンもプラントで生産されてから現場搬入されるまでの間、スランプや温度を連続計測してそのデータをデジタル化して活用する
IoT管理の時代
に入ったようですね。
なお、このシステムの実験検討は、「プローブシステム共同実験研究会」(幹事会社:GNN Machinery Japanを含む生産会社6社と施工会社11社で構成)によって行われました。