管理人のイエイリです。
実物の建物をコンクリート状の材料で造形する大型の3Dプリンター開発のニュースは、海外から続々と入ってきています。
しかし、日本の建設業でも、同様の3Dプリンター開発は、水面下で着々と進んでいたようです。
2017年10月には大林組が小型のロボットアームを使った3Dプリンターを開発し、アーチ状ブリッジの部材(幅500mm×奥行き250mm×高さ500mm)を製造したことを発表したほか、2018年12月には大成建設がセメント系の材料を使って幅1.7m×長さ2.0m×高さ1.5mまでの部材を造形できる3Dプリンターを開発したことを発表しました。
そして2019年1月16日、今度は前田建設工業が実際の工事に使うため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
幅2m×長さ2m×高さ3m
までの部材を造形できるロボットアーム型コンクリート3Dプリンターを開発したことを明らかにしたのです。この造形サイズは、大成建設の3Dプリンターをさらに上回るものです。(前田建設工業のプレスリリースはこちら)
前田建設では数年前からコンクリート3Dプリンターの開発に着手し、室内用の門型3Dプリンター(造形範囲:幅450×長さ600×高さ900mm)を製作して、造形に適したセメント系材料を開発しました。
この材料は適度な粘性と圧送性、造形性に優れており、3Dプリンターからはき出された後は自立して、自重で変形することがないという優れた特性を持っています。
そして様々な形の造形物を作ることにも成功し、材料の表面もダレのない美観に仕上がることを確認しました。
前田建設では今後、3Dプリンターの制御や測位技術、造形物の出来形確認のほか、材料の改良や施工性の向上、構造物や型枠としての適用範囲の拡大、そしてAI(人工知能)の導入などの開発に取り組みます。
さらには鉄筋や
鉄筋代わりの材料
の造形技術についても開発に取り組み、さらなる自動施工(無人化)を目指すとのことです。
地震国の日本で、コンクリート3Dプリンターが実用になるかどうかは、鉄筋が入れられるかどうかにかかっていると言っても過言ではありませんので、鉄筋代わりの材料開発は注目されますね。
実施工用のロボットアーム型3Dプリンターは、2019年1月に創業100年を迎えた同社が、2018年12月3日にオープンした次世代技術のオープンイノベーション施設「ICI総合センター ICIラボ」(茨城県取手市)に設置されました。
前田建設は2019年1月後半から、「ICI総合センター」のウェブサイトで協創パートナーを公募し、3Dプリンター関連の最先端技術を持つベンチャー企業や大学などとともに、オープンイノベーションによって開発スピードを飛躍的に加速していく方針です。
日本ならではのコンクリート3Dプリンター活用技術が発展していきそうな予感がしてきました。