管理人のイエイリです。
3Dプリンターによる建設ビジネスを展開するセレンディクス(本社:兵庫県西宮市)は、2022年以来、球形住宅や球形店舗、二人世帯用の平屋建て住宅などを続々と完成させ、今や日本の3Dプリンター建設のトップランナーと言っても過言ではありません。
それぞれ、3Dプリンターで壁などの部材を製作した後、現場での組み立てや塗装、仕上げなどの施工時間は1~2時間と短いのが特長です。
そこで、最近、同社には海外から思わぬ依頼が寄せられるようになりました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
大阪・関西万博のパビリオン
を建設してほしいというものです。

複数の国から大阪・関西万博のパビリオン建設依頼が来ていることを明かすセレンディクス最高執行責任者(COO)の飯田國大氏。2023年8月30日、インテックス大阪で開催の展示会イベント「ジャパンビルド」にて
この“秘話”は、2023年8月30日、インテックス大阪で開催された展示会イベント「ジャパンビルド」で、セレンディクス最高執行責任者(COO)の飯田國大(はんだ・くにひろ)氏が行った講演で明らかにされました。
大阪・関西万博の建設工事をめぐっては、参加国が独自に設計・施工する「タイプA」のパビリオン建設が遅れているほか、建設業の残業規制が強化される「2024年問題」もあり、難航しています。
この事態を打開するため、運営主体の日本国際博覧会協会(万博協会)は、協会が箱型のパビリオンを建設し、内外装だけを各国が手掛ける「タイプX」のパビリオンを提案しています。
しかし、パネルや塗装などの装飾だけでは、パッと見て、同じようなパビリオンばかりになっています。
そこで飯田氏は、タイプXの内外装の施工を3Dプリンターで行うことを提案しています。これだと、立体的なデザインが可能になるので、個性的なパビリオンがいろいろと短期間で作れそうですね。
しかし、スタートアップのセレンディクスだけでは、生産能力が全く追いつきません。そこで飯田氏は、建設用3Dプリンターなどを保有する全国の企業に、パビリオンの施工について「オールジャパンでの協力」を呼びかけました。
この画期的な提案は、大きな反響を呼び、講演後には飯田氏との名刺交換を希望する人たちの長蛇の列ができました。また、産経新聞も夕刊のトップ記事で講演内容を報じるなど、メディアにも取り上げられました。
このニュースが「X(旧ツイッター)」で取り上げられると、
吉村大阪府知事も「面白い」
と、リポストしたのです。(吉村府知事のリポストはこちら)
吉村府知事には125万人ものフォロワーがいますので、3Dプリンターで万博建設を進めるアイデアは、一気に広まったに違いありません。
建設用3Dプリンターを保有する企業はもちろん、樹脂や金属で造形するタイプの3Dプリンターなどはワンポイントの装飾に、土で造形するタイプは外構や庭園などにも使えそうですね。
海外に比べて遅れていた日本の3Dプリンター建設の力をPRする絶好のチャンスになるでしょう。このプロジェクトにご興味のある企業はぜひ、セレンディクスの飯田氏まで問い合わせてみてください。(セレンディクスのウェブサイトはこちら)
同社は中国製の3Dプリンターも使っているので中国企業と早とちりしている人もいるようですが、れっきとした日本企業です。
私ごとですが、当サイト「建設ITワールド」もこのジャパンビルド内の展示会「建設DX展」にブースを出展しました。3回目となる今回のテーマは「360度シアターで遊ぼう!」で、パノラマプロジェクターとドーム型スクリーンを使って、360度動画やフライトシミュレーター、BIMモデル、デジタルツインなどを迫力満点の映像で楽しみました。(2023年8月30日の当ブログ参照)
そして飯田氏は2度にもわたって、この小さなブースを訪ねてきてくれたのです。これだけ有名人になっても、親しみやすい彼の人間性が多くの人々を引き付けているのだと、あらためて感じた次第です。