管理人のイエイリです。
建設用3Dプリンターによる住宅建設ビジネスを展開するスタートアップ、セレンディクス(本社:兵庫県西宮市)は、“車を買う値段で買える家”の開発を進めていますが、その夢がまた一歩、前進しました。
同社は慶応義塾大学SFC教授の田中浩也氏や、宮城大学准教授の益山詠夢氏らとコラボして設計を進めてきた二人世帯用平屋建て住宅「フジツボモデル」(床面積50m2)が、2023年7月25日、ついに竣工したのです。
今回の住宅は愛知県小牧市内にある百年住宅(本社:静岡県駿河区)の工場内で3Dプリンターで壁などの部材を造形した後、44時間30分で施工を完了したものです。
3Dプリンターで作った住宅であるにもかかわらず、強度面もしっかりしており、
ナ、ナ、ナ、ナント、
SRC構造
となっているのです。(セレンディクスのプレスリリースはこちら)
その方法ですが、住宅のコンクリート基礎に9本の鉄骨柱をあらかじめ建てておきます。その柱に、壁部材内部の空洞をはめ込むように設置していったのです。
部材同士の接続も、壁内部の空洞に鉄筋を入れて生コンを流し込めば、RC構造として機能しそうです。
丸みを帯びた屋根は木造となっています。飛行機の主翼のように骨組みを組み立て、その上に板を張った構造となっています。
これらの屋根部材も、デジタルデータをもとに、コンピューター制御の
CNCカッター
で切り出すという、デジタルファブリケーションの手法で作られたのです。
今回の施工に当たり、構造設計はKAP(本社:東京都千代田区)、施工は立尾電設(本社:熊本県水俣市)、百年住宅、ナベジュウ(本社:群馬県太田市)が担当しました。
2022年3月には日本で初めて、3Dプリンターで球形住宅「スフィアモデル」を約23時間で建設し(2022年3月9日の記事参照)、2023年5月には330万円(税込み)で初の一般販売棟(2023年6月22日の記事参照)を長野県佐久市に建設しました。
今回のフジツボモデルは安全性試験を実施した後、550万円で限定6棟の先行販売を行う予定です。
フジツボモデルの躯体は3Dプリンター、屋根部材はCNCカッターと、部材の加工はほとんどロボットが行ったと言っても過言ではありません。人手不足問題に悩む建設業界の、未来の姿を先取りしたプロジェクトですね。