管理人のイエイリです。
「DWG互換CAD」と呼ばれるCADソフトは、業界標準と言われるAutoCADの「DWG形式」のファイルを読み書きできる低価格のCADとして、ここ数年、人気を集めています。
ドイツ・ベルリンに本拠を置くグレバート社(Graebert GmbH)が開発・販売する「ARES」シリーズも、有力なDWG互換CADの一つです。デスクトップ用の「ARES Commander」を中心に、タブレットやスマートフォン上で動作する「ARES Touch」、クラウド上で動作する「ARES Kudo」で構成されています。
このARESシリーズの最新版、「ARES 2019」シリーズの日本語版が2019年4月1日に発売されることになり、昨日(3月27日)、東京・銀座でプレス発表会がありました。
DWG互換CADと言えば、2D図面の閲覧や簡単な修正を行うのに使われることが多いため、もはや目新しい進化もないのではと思っていた私は、プレス発表会に出て驚きました。
メインとなる「ARES 2019 Commander」には、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3D点群の読み込み・編集
機能が追加されることになったのです。
近日、発表予定のプラグインソフト「UNDET Point Cloud for ARES Commander」をインストールすると、数百万点の点群データを読み込み、断面を切って見るなどの編集が行えます。対応する点群のファイル形式は、十数種類に対応しています。価格は毎年、使用料を払う「サブスクリプション」方式で、「年間6万円程度」で提供する予定とのことです。
DWG互換CADというと、2次元CADと思いがちですが、ARESシリーズは内部で3次元データを持つ仕組みになっていたため、「ARES 2017」から3次元CAD機能を備えています。
このほか、近く提供予定のプラグイン「Maps for ARES Commander」は、公共座標系を持った地図データを読み込めるものです。ESRI社のGIS(地理情報システム)ソフト、「ArcGIS」のオンラインベースマップをCADに読み込んで設計などに使えます。ARESシリーズをサブスクリプションで契約すると、このプラグインの使用権が得られます。
このほか、DWG互換CADとは思えない追加機能としては、3Dモデルから高画質のCG(コンピューター・グラフィックス)画像を作る
最新世代のレンダリング
用のプラグイン「ARES Render for ARES Commander」も近く、発表の予定です。
光の反射なども再現する「レイトレーシング」と呼ばれる技術にも対応しており、一般のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトで作成した3DモデルをDWG形式で書き出し、このプラグインでCGを作成するといった使い方もできます。お値段は年間2万円程度と、これまた低価格になる予定です。
「ARESシリーズ」は以前、「JDraf」という名前でGSAやコンピュータシステム研究所が販売していたCADです。このたび、日本での販売会社がGraebert
Japanになったことで、製品の名称も世界と同じ「ARES」になりました。
このほかのDWG互換CADベンダーも、3D機能の充実に努めています。例えば「IJCAD」を展開するシステムメトリックス(本社:名古屋市中区)は、2018年9月から「3次元CADデータ変換サービス」を始めました。
また、「BricsCAD」を展開するビージェーソフト(本社:大阪市淀川区)は、BricsCAD用BIMオプション機能を用意しています。
DWG互換CADは、もはや2次元CADの機能だけでなく、3次元CADとしての機能も注目されはじめたようです。