管理人のイエイリです。
トンネルやダム工事はこれまで、経験と勘がものを言う世界でした。
例えば、都市トンネルなどの掘削で使われるシールド機の方向修正を行うとき、曲がりたい方向に「余掘り」してシールド機の向きをぐいと変えます。
そのとき、シールド機とセグメントの間に適切なすき間(クリアランス)がないと、シールド機やセグメントに無理な力がかかり、施工中や完成後の漏水やひび割れ発生の原因になります。
シールド機の曲げ加減や余掘りの量はこれまで、施工管理者が表計算ソフトや作図ソフトを駆使し、2次元の作図によって求めていましたが、うまくいかないこともありました。
そこで大林組は、シールド機の方向修正作業をスムーズに行えるシステムを開発しました。
シールド機が進む方向や余掘り量、セグメントとのクリアランスを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dで線形管理
することにより、わかりやすく見える化してくれるのです。(大林組のプレスリリースはこちら)
これまでは手作業で計算していた余掘り量とクリアランスを、3D空間上で自動計算し、色分け表示してくれるので方向修正の計画立案作業にかかる時間を30%短縮できます。
また、「アシスト機能」によって方向修正計画の妥当性をチェックしてくれるので、経験の少ない技術者でもスムーズなシールド機の運転が行えます。
大林組は、シールド自動化システム「大林インテリジェントシールド(OGENTS:Obayashi Intelligent Shield)」の開発に取り組んでいます。
今回の3次元線形管理システムはシールド自動運転システム「OGENTS/DRIVE(オージェンツ/ドライブ)」の一部となるものです。
今後、シールドトンネル用の自動測量システム「OGENTS/SURVEY(オージェンツ/サーベイ)」とも連携させ、測量結果をもとに方向修正計画の立案や指示、運転操作までを自動化していく予定です。
さらに大林組では、ダム工事の技術革新も進めています。長年の経験で蓄積してきた施工技術と、
ICT、IoT、AIを融合
させた様々な情報化施工技術を開発し、「ODICT(Obayashi-Dam Innovative Construction Technologyの略。オーディクトと読む)」というソリューションに集約していきます。
そして、工事の安全性や生産性を向上させるほか、品質管理の高度化を目指します。
このソリューションは、水資源機構が発注した川上ダム本体建設工事(三重県伊賀市)で初めて活用します。
例えば、「AI(人工知能)による基礎岩盤の健全性判定」や「タワークレーンによるコンクリート運搬のオートメーション化」、「コンクリート締め固め判定の自動化」などの新開発技術を含め、20を超える技術を使っていきます。
経験と勘に頼っていた判定作業も、少しずつAIなどで行えるようになってきましたね。