長谷工がタイル検査にHoloLens2を導入!MRで現場を記録する時代に
2020年7月7日

管理人のイエイリです。

マンションの大規模修繕工事の際などに、外壁タイルやコンクリート壁に異常がないかを調べるのに、小さなハンマーで外壁をなぞって異常音が出る場所を探す「打診検査」がよく使われます。

検査自体は簡単ですが、これまでは異常音の出る場所を写真や図面で記録するためにもう一人の記録員と二人一組で行う必要がありました。

従来の打診検査イメージ。写真や図面で異常のある場所を記録するために二人一組での作業が必要だった(以下の写真、資料:長谷工コーポレーション、アウトソーシングテクノロジー、日本マイクロソフト)

この作業を省力化しようと、長谷工コーポレーションアウトソーシングテクノロジー(本社:東京都千代田区)は、「AR匠RESIDENCE」というシステムを共同開発しました。

従来のデジタルカメラや図面の代わりに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

HoloLens2

を使い、1人で打診調査を行えるようにしたのです。(長谷工コーポレーションのプレスリリースはこちら

HoloLens2をかぶり、1人で打診調査を行うイメージ

打診調査に使うMRデバイス、HoloLens2

HoloLens2とは、日本マイクロソフトが開発したMR(複合現実)デバイスで、現実空間に重ねて実寸大の3DモデルやCAD図面を見られるようにしたものです。

これまでは、現場で3Dモデルなどを「見る」ことが主な用途でしたが、このシステムでは現場で見つけたタイルの異常などを図面上に「書き込む」点が、使い方としての進化と言えます。

使い方はまず、検査する壁の前にQRコードが印刷されたマーカーを2枚置き、これらをHoloLens2で認識することにより現場と図面の位置合わせを行います。

その後、HoloLens2を通して現場を見ながら打診調査を行っていきます。そして異常音などが発生した場所は、HoloLens2のモニター画面を通して、その範囲や異常の内容などを書き込んでいきます。

写真撮影や図面との位置合わせも、この作業で完了してしまうので、別に記録員はいりません。

外壁調査の前にMRマーカーを2カ所置き、現場と図面の位置決めを行う。2枚のマーカーで図面のX、Y軸と建物のX、Y軸をそろえ、2点間の距離で図面と実際の建物を合わせる

HoloLens2を通して見た現場。異常などを見つけた場合は、画面上に位置や異常の内容を記録していく

また、HoloLens2の特長としては、3Dスキャナーのように被写体の奥行きを点群データで取得する機能があるので、現場を見ながら歩くだけで、3Dモデルとして記録できるというメリットもあります。

これらのデータは、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」に保存されるので、遠隔地の技術者はテレワークで現場に指示を出したり、3Dモデルを作ったりすることができます。

HoloLens2を着けて現場を歩くと、周囲が3Dの点群データとして認識・記録することができる

「AR匠RESIDENCE」のベースとなった「AR匠MASTER」の機能。クラウドデータベース上でデータを共有し、様々なテレワークが可能になる

打診調査にHoloLens2を使う効果は、調査が1人で行えるだけではありません。点検結果の

レポートを自動作成

してくれるのです。

点検結果を平面図上に出力したイメージ

異常のあったタイル枚数も図面上にまとめてくれる

写真帳式の点検レポート

長谷工グループの長谷工リフォーム(本社:東京都港区)は、2020年6月に「AR匠RESIDENCE」のシステムの実証実験を行いました。その結果、報告書作成業務がほぼ半減したため、全体業務の約30%を削減できることが分かりました。

同社では2020年に関東エリアから導入を始め、順次、全国へと活用を広げていく予定です。またシステムの改良も進め、2021年ごろには妻壁や足場上へと適用範囲を拡大していきます。

また、アウトソーシングテクノロジーは年内にも他の建設会社やリフォーム会社を対象に「AR匠RESIDENCE」の販売やトライアル運用を開始するほか、AI(人工知能)を活用して点検データの傾向分析や外壁の劣化検出も予定しているとのことです。

2020年7月6日の午後、記者会見はテレビ会議で行われた

いよいよ、MRは「現場で見る」時代から「現場を記録する」時代へと、活用が進化してきました。

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