ICT土工で生産性4倍! 林道工事を儲かる仕事に変えた平賀建設を直撃取材
2020年9月24日

管理人のイエイリです。

台風9号がフィリピン東方を発達しながら北上していた8月28日、Facebookで見た林道工事の現場写真がふと目にとまりました。

投稿の主は、平賀建設(本社:山梨県韮崎市)の公式アカウントで、コメントにはさりげなく「台風くる来月までには、あと300m仕上げたいな〜」とありました。

8月28日、平賀建設の公式アカウントが投稿したFacebookの写真(以下の写真、資料:特記以外は平賀建設)

台風が来るまでの日数を数えると、あと1週間もありません。この現場ではICT建機を導入しているといえ、単純計算すると、この山の中を

ナ、ナ、ナ、ナント、

1日に50~60mも

切り土・盛り土で道を切り開いていかないといけないではありませんか。

ICT土工とはいえ、山奥の狭い現場で、これだけのスピードを実現する会社には、きっと何かがあるに違いないと思った私は、一連の台風が去った後、同社の直撃取材を完工しました。

平賀建設の本社。意外にも小さな会社だった(以下の写真:家入龍太)

代表取締役の平賀健太氏とデスク。曲面モニターがきれいに3台並んでいます

事務所のスタッフ。右端は取締役・静岡支店長の中村義隆氏

社屋は予想に反して小さい建物でした。そして同社が本格的にi-Constructionに取り組み始めたのは、約2年前と最近の話なのですが、ICT関連の装備は万全でした。

ICTバックホーが4台あるほか、3DレーザースキャナーやICT土工対応のトータルステーション、さらには数機のドローンなどがありました。

代表取締役の平賀健太氏は、自らICT建機を操縦し、現場でバリバリと施工を進める土木作業員でもあります。

もともとバイクなどのメカ好きで、それがICT建機を使いこなすのにも役立っています。

例えば、ICTバックホーの制御機器の取り付け、取り外しを行ったり、機器の不具合を発見したりする作業を自分自身で行ったこともあります。

米国製の3Dマシンコントロールシステムに潜んでいた「バグ」の原因を突き止め、米国の本社に報告したことも2度ほどありました。

また、事務所で使うパソコンも自作しています。用途を考えてCPUやメモリー、グラフィックボードなどの構成をうまく選定して、市販品の3分の2以下のコストで作ることができました。

現場最前線で生産性向上の実際を肌で感じながら、社長としてICT建機の導入や使い方を考えるという究極の「MOT(技術経営)」を実践していると言えるでしょう。

ICTバックホーを操縦する平賀氏

ICTバックホーの運転席にとりつけられたモニター

自らトータルステーションも現場に設置。GNSSの電波が届かないため

事務所のパソコンも自作。内部はゲーミングカラー

そして、ICT土工の生産性向上にも徹底的にこだわっています。

例えば、ICT建機にインプットする3Dデータですが、ソフトが自動的に作った面をそのまま施工するとあまり効率がよくないことがあります。

そこで、バックホーでアームを一定の勾配に沿って効率的に切り土や盛り土が行えるように、データを修正しています。

切り土・盛り土の勾配を一定にして、効率的に施工できるようにデータを修正した例

こうした努力の結果、林道工事の掘削工程では従来、3~4人の作業員が2カ月くらいかかっていた作業を、2人で半月~1カ月で行えるようになりました。

生産性は4倍以上

に上がったことになります。

現場で使用しているICTバックホー。平賀氏はこの日、2台の建機を1人で使っていた

ICT土工により超高速で施工が進む林道

同社では他社に対して、3D測量や施工データの作成など、i-Constructionのコンサルティング業務も行っているため、年間、100現場程度のICT土工をこなしています。

そのため、技術的にi-Constructionにどう対応するかの段階は過ぎ、今では2人チームでいかに効率的に現場を回していくかを考える段階に入ったそうです。

そして、これまで「儲からない」と敬遠されがちだった林道工事が、ICT土工による生産性向上の結果、利益を生む工事に変身したそうです。

「今後はICTブルドーザーも導入し、林道工事をさらに効率化したい」と、平賀氏はさらなる展開を考えているようでした。

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