管理人のイエイリです。
建設工事には、職人さんの経験と勘がものを言う作業が多くあります。壁面の吹き付け塗装もその一つです。
塗装面積は広く、塗装時に塗料のたれが生じやすいため、何度も塗り重ねが必要です。そのため、長時間の繰り返し作業が必要となり、生産性向上が求められていました。
そこで鹿島と竹延(本社:大阪市都島区)は、この作業を省力化するため、壁面吹き付け塗装ロボットを共同開発し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
実工事に初導入
したのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
このロボットには「離隔センサー」が搭載されており、壁面との距離を一定に保ちながら横移動と吹き付けノズルの上下を繰り返して塗装を進めていきます。
ロボットらしく、一定の速度、一定の角度を守りながら吹き付けノズルを動かせるので、1回の吹き付けで塗膜の厚さを確保することができます。
鹿島のウェブサイト上に公開されている動画を見ると、かなり速いスピードでノズルを動かしているのがわかります。
そのため、1時間当たり110m2以上の壁面を塗装できます。また、吹き付け塗装の機材には汎用品を使っているので、部品交換などの保守も簡単に行えます。
このロボットが初導入された兵庫県内の建築現場では、ALC壁(475m2)の部分塗装を行いました。
下地処理や養生などを含む塗装作業全体では、従来の人による作業が4.8人日だったのに対し、ロボットを使った場合は3.2人日と、約3割の生産性向上が実現できました。
気になるのは仕上がり品質ですが、
熟練塗装工と同等
の高い塗装品質を実現できます。
簡単で面積の大きな部分の塗装作業はロボットに任せて、端部など難しい部分は熟練工が行うという作業の分担が行えるようになりました。
完全な自動化を目指すのではなく、あえて人間との協働作業という形を残すことで、ロボットもシンプルになり、開発期間の短縮、開発コストの削減、そして容易な操作が実現しました。
このロボットの開発には、竹延が以前から取り組んでいた、熟練塗装工の感覚的な技の数値化や、マニュアル化のノウハウが生かされているとのことです。
熟練工の技が、ロボットに移植され、伝承されていくのは、感慨深いものがありますね。