管理人のイエイリです。
米国の不動産物件サイト、Zillowに先日、ニューヨーク州ロングアイランド島の東部に建つ新築住宅が売りに出されました。
約1000平米の土地に、約130平米の住居と約70平米のガレージを持つこの家は、29万9999ドル(約3100万円)と、相場に比べて半額程度です。しかも50年間の保証付きと、お得感が満載です。
この安さには、なにか“訳あり”があるのでは、と思ったところやっぱりありました。この住宅は、同じくロングアイランドに本拠を構える建設ベンチャー、SQ4Dが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dプリンターで建設
したものだったのです。(SQ4Dの英文プレスリリースはこちら)
SQ4Dは自律型ロボット建設システム「ARCS(Autonomous Robotics Construction System)」という特許申請中の公法を持っており、この住宅の基礎と内外壁を3Dプリンターによって現地施工しました。
同社によると、この工法は従来工法に比べて30倍も速く、総工費を70%削減でき、躯体の造形に必要な作業員は3人ということです。
2019年7月に3Dプリンターによって最初の住宅を初めて建設し、2020年1月には、世界最大となる177平米の住宅を8日間、計48時間の造形時間で建設しました。
今回、発売された住宅物件は、3Dプリンターで建設された住宅として、
米国初の占有許可書
が交付されることになり、米国の不動産業者向けデータベース「MLS」に掲載されました。
米国では新型コロナウイルスの感染拡大前に比べて、住宅価格が13%も上昇し、過去3年間では25%も上がっており、低所得者層が住宅を買えないという問題も発生しています。
今回、3Dプリンターで作られた住宅が初めて発売されたことで、SQ4Dは「世界の建設方法を変える」というキャッチフレーズのもと、全米で手頃な価格の住宅を供給していく方針とのことです。
3Dプリンターによる建設は、住宅の価格破壊をし始めたことで、関心の的は技術からビジネスへと移り、いよいよ本格的な普及が始まりそうです。