管理人のイエイリです。
地下を掘削する工事で欠かせないのが土留め壁の安全管理です。
特に向かい合った土留め壁を、突っ張り棒のように支える「切り梁」にかかる力が過大になると、土留め壁が崩壊する原因にもなるので、軸力を常時、計測・監視することが重要です。
これまでは切り梁に突っ張り力を加える油圧ジャッキの油圧をメーターで測り、その目盛りを目視で読み取ったり、データを有線ケーブルで集めたりしていました。
しかし、メーターは高所や土留め壁付近にあることが多く、悪天候や地震のときには読みに行くのが危険だったり、ケーブルの断線でデータが送られてこなかったりという課題がありました。
この問題を解決しようと、CACH(本社:東京都江東区)は新システムを開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
切り梁をIoT化
して、突っ張り力をスマートフォンで遠隔モニタリングできるようにしたのです。(CACHのプレスリリースはこちら)
このシステムは、油圧ジャッキにIoT(モノのインターネット)機器を取り付け、油圧の値を無線でデータ収集装置まで送信する仕組みです。
現場の管理者は、スマホからデータ収集装置にアクセスすることにより、油圧データをグラフなどでわかりやすく把握することができます。また、CSV形式でデータを書き出すことも可能です。
そして油圧の管理値を3段階に設置することができ、管理値を超えた場合は
スマホにアラートメール
を自動送信して、危険の予兆をスピーディーに把握できるのです。
同社では今後、土留め壁の変位や、土留めの裏側にある土中の地下水圧なども、IoTで見える化するための技術開発も行う予定です。
こうしてIoTで計測できる土留め壁関連のデータが増えていくと、「デジタルツイン」(デジタルの双子)への進化していくでしょう。
そして、土留めの安全管理もテレワーク化したり、AI(人工知能)で自動化したりできるようになり、安全管理の効率と確実性が高まっていきそうですね。