土留め壁をスマホで監視! CACHが切り張り部材をIoT化
2021年2月24日

管理人のイエイリです。

地下を掘削する工事で欠かせないのが土留め壁の安全管理です。

特に向かい合った土留め壁を、突っ張り棒のように支える「切り梁」にかかる力が過大になると、土留め壁が崩壊する原因にもなるので、軸力を常時、計測・監視することが重要です。

切り梁の突っ張り力を計測する従来のシステム(以下の資料、写真:CACH)

これまでは切り梁に突っ張り力を加える油圧ジャッキの油圧をメーターで測り、その目盛りを目視で読み取ったり、データを有線ケーブルで集めたりしていました。

しかし、メーターは高所や土留め壁付近にあることが多く、悪天候や地震のときには読みに行くのが危険だったり、ケーブルの断線でデータが送られてこなかったりという課題がありました。

この問題を解決しようと、CACH(カック)(本社:東京都江東区)は新システムを開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

切り梁をIoT化

して、突っ張り力をスマートフォンで遠隔モニタリングできるようにしたのです。(CACHのプレスリリースはこちら

IoT化された切り梁。油圧ジャッキの油圧データを切り梁の端に取り付けたIoT機器で無線データとして送信する

このシステムは、油圧ジャッキにIoT(モノのインターネット)機器を取り付け、油圧の値を無線でデータ収集装置まで送信する仕組みです。

現場の管理者は、スマホからデータ収集装置にアクセスすることにより、油圧データをグラフなどでわかりやすく把握することができます。また、CSV形式でデータを書き出すことも可能です。

切り梁をIoT化する仕組み。油圧ジャッキの値をIoT機器からデータ収集装置へと無線送信する

そして油圧の管理値を3段階に設置することができ、管理値を超えた場合は

スマホにアラートメール

を自動送信して、危険の予兆をスピーディーに把握できるのです。

スマホなどでデータ収集装置にアクセスすると、油圧ジャッキの油圧を遠隔で見ることができる

同社では今後、土留め壁の変位や、土留めの裏側にある土中の地下水圧なども、IoTで見える化するための技術開発も行う予定です。

こうしてIoTで計測できる土留め壁関連のデータが増えていくと、「デジタルツイン」(デジタルの双子)への進化していくでしょう。

そして、土留めの安全管理もテレワーク化したり、AI(人工知能)で自動化したりできるようになり、安全管理の効率と確実性が高まっていきそうですね。

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