管理人のイエイリです。
最近、MR(複合現実)やAR(仮想現実)を現場で活用する技術が、各社から続々と発表されています。
三井住友建設でも、千葉県流山市にあるR&Dセンターで、MRデバイス「Microsoft HoloLens」をかぶった技術者が、コンクリート床を見るという実証実験が行われました。
はた目から見ると、ただコンクリート床が広がっているだけですが、HoloLensを通して見ることで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
格子メッシュ
が表示され、コンクリート床のひび割れを座標で管理できるのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら)
これは同社が水路トンネルなどの調査や点検作業を効率化するために開発した「MOLE-FCM(Field Crack Mapping)」というシステムの実証実験です。
広大なコンクリート壁などのひび割れ調査は、手がかりとなるその位置を記録するのがひと苦労です。
そこでトンネルなどの3Dモデルから格子メッシュのデータを作り、MRデバイスに転送します。すると現場ではコンクリート壁と格子メッシュが重なって見えます。
この状態でコンクリート壁を見ながら動画を撮影すると、格子メッシュによって常に位置が把握できます。
そして、その動画データから専用アプリを使ってひび割れを抽出し、位置情報付きの展開図としてデータベースに記録できるのです。
このシステムを使えば、ひび割れの形などを手でスケッチしたり、長さを測ったりする作業が不要になるので、作業効率は
30~50%向上
するとのことです。
三井住友建設では、MRデバイスによってトンネルなどの補修履歴データを現場と重ねて見られる「MOLE-FMR」というシステムを既に開発しています。(詳細は、2019年3月7日付けの当ブログ記事を参照)
今回、実証された「MOLE-FCM」は、現場の状況をデータ化するという、逆方向の流れをMR化したものです。
同社では水路トンネル以外にも、橋梁などのコンクリート構造物全般の調査・点検にこれらのシステムを展開していく方針です。
MRデバイスは、現場での人間の視覚や空間把握能力などをパワーアップさせるツールとして、活用が広がっていきそうですね。