管理人のイエイリです。
地震や水害などが発生したとき、飛行機やヘリコプターを飛ばして、現地の被災状況を把握する作業がよく行われます。
しかし、地上から飛行機などはよく見えても、飛行機から地上の被災状況を探し出すのは容易なことではありません。
例えば、上空から見た映像で、下記のようなものが写っていた場合、人間の眼で即座に被災箇所として判断できる人は少ないのではないでしょうか。
そこで日立製作所は、ドローンやヘリコプターによる空撮映像から、災害状況を迅速かつ容易に、詳しく把握できるシステムを開発しました。
このシステムを使うと、様々なタイプの被災箇所を
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIで自動発見
してくれるのです。(日立製作所のプレスリリースはこちら)
これまでもAI(人工知能)のディープラーニング技術を使って、コンクリートのひび割れなどを発見するシステムなどがいろいろと開発されてきましたが、実用化されるまでに膨大な画像データを用意してAIに読み込ませて“鍛える”という作業が必要でした。
ところが、災害状況を判定させる場合には、学習データ数が少なかったり、空撮映像の中に特定したいものが非常に小さく写っていたり、複数の災害が1つの画像に混在していたりと、現場で起こっていることを正確に認識するのが困難です。
そこで日立製作所では、これまで防犯や製造現場向けの映像解析技術で培ってきたノウハウを生かして、自然災害映像も高精度に認識できる画像解析技術を開発したのです。
例えば次のような被災箇所を発見できます。
日立製作所はこの技術を引っさげて、国立情報学研究所や情報通信研究機構とともに、映像解析の国際的なワークショップであるTRECVID (TREC Video Retrieval Evaluation) 2020に参加しました。
そして、災害映像解析の部門であるDSDI(Disaster Scene Description and Indexing)で
参加17チーム中、トップ
レベルの認識精度と評価されたのです。
DSDIでは大量の災害画像が提供され、その中で浸水家屋や橋梁崩壊、地すべり、がれきの山などの災害状況を予測します。
日本の災害AIが、世界トップレベルと認識されたことは大きな誇りです。
この技術が進化してリアルタイムに使えるようになれば、MR(複合現実)やAR(仮想現実)のデバイスと連携させて、被災現場上空を飛びながら、その場で次々と被災箇所を特定する“人間の超人化”にも役立ちそうです。
また、多数のドローンを同時に飛ばして被災地の映像をリアルタイム収集し、被害を受けた場所を地図上に自動マッピングしていくといったこともできそうです。
災害調査にデジタルトランスフォーメーション(DX)をもたらすAI技術に、大いに期待したいですね。