ドローンで水深20mを3Dスキャン! 港空研とアミューズワンセルフが世界初の快挙
2021年4月6日

管理人のイエイリです。

ドローン事業を展開するアミューズワンセルフ(本社:大阪市中央区)は、水面下も3D計測できる日本初のドローン搭載型グレーンレーザースキャナーを開発したことで知られています。

日本初のドローン搭載型グリーンレーザースキャナー「TDOT GREEN」。本体重量は約2.6kg(特記以外の資料:港湾空港技術研究所、アミューズワンセルフ)

当ブログ2019年2月5日付けの記事では、このグリーンレーザースキャナーで、水面下約3.4mの川底面の3D計測に成功したことをお伝えしました。

その後、水面下の計測性能はさらに進化を続けていたようです。

2021年3月1日、港湾空港技術研究所(神奈川県横須賀市)とアミューズワンセルフは、沖縄県の西表島で全長約2.6km、幅1kmの海底や珊瑚礁の地形をドローンに搭載したグリーンレーザースキャナーで計測することに成功しました。

そのとき、

ナ、ナ、ナ、ナント、

最大水深は約20m

にも達したのです。(港湾空港技術研究所、アミューズワンセルフのプレスリリースはこちら

計測データの高さ方向の誤差は±2cmと高精度でした。ドローンでこれだけの水深まで3D計測できるとは、驚きですね。

海底の計測に用いたドローンとグリーンレーザスキャナー

計測範囲(赤枠)と離着陸地点(◎印)

マングローブ林から海岸にかけて計測された地形断面図

これまで、海底地形の計測は船からソナーを使って音響測深するのが一般的でした。しかし、水深が浅い砕波帯での計測は危険で困難でした。

しかし、砕波帯では波のエネルギーが大きく減衰するため、地形が大きく変化しているので、その形状を計測するニーズは多いのです。

ドローンに搭載したグリーンレーザーで砕波帯など沿岸の詳細な地形を計測できるようになれば、波浪予測や地形変化の予測なども行いやすくなります。

サンゴ礁を上空からみたところ。水深の浅い部分で砕波が見られる

水面フィルタリング処理後の海底地形

サンゴ礁の中央部分(赤丸部)を拡大した地形

サンゴ礁の詳細な地形

今回のサンゴ礁計測で、もう一つドローンの進化がありました。それは「ハイブリッドドローン」の採用で

滞空時間が2時間以上

に延びたことです。

滞空時間が2時間以上に延びたハイブリッドドローン

ハイブリッドドローンとは、ガソリンエンジン発電機「レンジエクステンダー」を搭載したドローンのことです。

ローターは電動モーターで駆動することで高精度の制御が行える一方、電源はエンジンから供給されるので、バッテリーの容量に左右されることなく滞空時間を延ばせます。

ハイブリッドドローンに搭載したグリーンレーザースキャナーで、長時間にわたり海底地形を計測したのは世界初とのことです。

ガソリンエンジンで発電した電気をドローンに供給する「レンジエクステンダー」(写真:小川精機)

こんな便利なものを作っているのは、小川精機(本社:大阪市東住吉区)という会社です。

往年の模型飛行機マニアの方なら、エンヤ、Fujiと並ぶおなじみの模型エンジンブランド「OS」で知られるあの小川精機なのです。

ドローン全盛の今、模型用エンジンは影を潜めたかと思いきや、発電機とセットになってドローンの電源として活用されていることを知り、うれしくなりました。

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