歴史的建物の補修部材をBIM化! 安藤ハザマらがバーチャル仮組み
2021年4月7日

管理人のイエイリです。

木造の歴史的建造物は、柱や梁がもともと曲がった形だったり、部材の接続に「腰掛け鎌継ぎ」などの複雑な継ぎ手が使われていたりしています。

そのため、解体・修理を行う際に部材の腐食部分を修理した後、仮組みしてみると思わぬところに寸法ミスが見つかることもありそうです。

そこで安藤ハザマとアールテック(本社:静岡県浜松市)は、大正時代に建てられた木造建物の軸組部材を

ナ、ナ、ナ、ナント、

3Dスキャナーで計測

して3Dモデル化し、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト上で仮組み技術を開発したのです。

3Dスキャナーで計測し、3Dモデル化された「腰掛け鎌継ぎ」の継ぎ手接合部。3D断面機能を使って微妙な干渉チェックを行っているところ(以下の資料:安藤ハザマ)

柱と梁の仕口接合部の仮組み

これまでの復原工事では、木材の腐食部や損傷部を補修した後、実部材を使って仮組みを行っていました。

しかし、柱の足元など、建物の下の方が腐っている場合は、まずその部材を補修してからでないと上の部分の仮組みができないという制約がありました。

そこで各部材を3Dスキャナーで計測し、3Dモデル化すると、部材の位置に関係なくBIMソフト上で自由に“バーチャル仮組み”ができるようになったのです。

各部材の高さや補修の範囲を決める検討や、数量漏れや仕口の加工漏れなどのチャックも効率的に行えるようになります。

今回の取り組みでは、アールテックが軸部材の3Dスキャンと3Dモデル化を担当しました。そして安藤ハザマはBIMソフト上で仮組みを行いました。

継ぎ手部については、BIMソフトの断面表示機能を活用しながら、部材同士のねじれや干渉がないように

微修正を繰り返した

とのことです。

古い柱や梁は、直線・直角ではなく、全体が規則性のない“曲面”と言っても過言ではありません。

それを補修したり、作り直したりするのは、他の部材との接続がすべてうまく行くように設計しないといけないので、相当な苦労がうかがわれますね。

この技術を使うと、復原工事を行う時代設定を創建時や解体時に変えて比較するなど、現実にはできないことも可能になります。

安藤ハザマではこの仮組み技術を今後、設計・施工BIMへの展開や、文化財の保存復原や伝統技術の継承に活用していく方針です。

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