河川現場に総額1億円のドローン軍団が集結! グリーンレーザーで河床を測量
2021年11月4日

管理人のイエイリです。

福岡県筑後市を流れる1級河川、矢部川で低水護岸の災害復旧工事(発注者:国土交通省 筑後川河川事務所)が行われています。この現場では、河川内に工事用道路と仮設ヤードを作る必要がありました。

施工者である河建(本社:福岡県みやま市)の現場所長を務める河野さんは、手戻りが起きないように施工計画を立てていましたが、河床の深さや形が分からないため、悩んでいました。

矢部川の災害復旧工事では河川内に工事用道路と仮設ヤードを作る必要があった(以下の資料、写真:河建)

現場所長を務める河建の河野氏

「それだ、ドローンからグリーンレーザーで河床を測量しよう」と思い立った河野氏は、水上洋行(本社:福岡市東区)やイズマ(本社:福岡市中央区)の協力を得て、このほど現場で3機のドローンによる測量を行いました。

当日、現場に集まったのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

総額1億円のドローン軍団

 

だったのです。

水中測量用のグリーンレーザーを搭載したドローン

地上測量用のレーザースキャナーを搭載したドローン

その内訳は、グリーンレーザー搭載ドローン(Matris600、アミューズワンセルフのTDOTグリーン搭載)が1機と、地上型レーザードローン(Matris600、VX20-200搭載)が2機です。

こうした河川測量は珍しいため、はるばる横浜や群馬からも協力の測量士が集まったそうです。

ドローン測量は、残暑の中、行われました。約3500m2の現場を測量するのにかかった時間は3時間ほどでした。データ解析には3日ほどかかったそうです。

従来のボートとレベルによる測量は、苦渋作業になるうえ、川の中に入らないといけないこともあって危険もありました。

離陸前の点検を行う技術者とドローン●離陸したグリーンレーザー搭載のドローン

離陸したグリーンレーザー搭載のドローン

測量結果の確認用にシングルビームによる河床測量も行った

その結果、得られたのが下の点群データです。左側の下流部分が深く、右側の上流部分が浅いという

 

河床の3D形状が明らかに

 

なりました。

3日間の解析の結果、水中の河床部分を含んだ点群データが出来上がった

この点群データを参考にして、安心できる施工計画を立てることができ、現場では現在、仮設道路の施工を手戻りなく行っています。

上流側の仮設道路。水深が浅いのでスピーディーに施工が進んでいる

下流側の仮設道路。水深が深いので上流側に比べて施工には苦労している

河川や海岸などの工事では、水中が見えないことによるリスクが多くありました。それがドローンによるグリーンレーザーで、河床の深さや3D形状が“透視”できるようになったため、より確実な施工計画が立てられ、手戻りもなくなりました。

グリーンレーザーによるドローン測量は、現段階ではちょっと高価ですが、そのうち“手戻りのムダ”よりも安く使えるようになれば河川工事や海岸工事の施工管理ツールとして、一気に普及していきそうですね。

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