管理人のイエイリです。
戸建て住宅などの小規模な工事現場では、現場監督は複数の現場を兼務することが普通です。そのため、1日の仕事の中で、「あっちの現場」から「こっちの現場」へと、移動する時間が多くを占めています。
一方、現場で働く作業員は、施工上で不明なことがあると、現場監督が回ってくるまで、作業を中断しなければなりません。
言い換えれば、“移動のムダ”、“手待ちのムダ”が多く発生して生産性を低下させ、長時間労働の原因になっていたのです。
この問題を解決しようと、大和ハウス工業では昨日(2022年2月17日)から、すべての戸建て住宅現場に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
WEBカメラを設置
し、現場監督が現場に行かなくても、作業員など工事関係者とコミュニケーションを図れる態勢づくりを始めたです。(大和ハウス工業のプレスリリースはこちら)
現場のWEBカメラは、現場の施工状況や資材の搬入状況などを映し出します。現場監督は離れた場所からWEBカメラの映像や、作業員が持つタブレット端末のカメラ映像などを見ながら、現場を確認し、作業員とコミュニケーションを図りながら指示などを出すことができます。
大和ハウス工業では、施工管理をテレワーク化するため、全国12カ所の事業所に「スマートコントロールセンター」を設置しています。(詳しくは、2020年10月1日付けの当ブログ記事を参照)
今回、WEBカメラを全戸建て現場に配置するに先だって、2020年10月から2021年12月まで、延べ3400棟の現場で試験運用を行い、現場監督がスマートコントロールセンターから一元管理する実証実験を行いました。
その結果、現場監督の業務効率を約15%向上することができ、長時間労働の抑制につながりました。
また、安全管理の点でも、現場監督がすべての現場の朝礼に参加できるようになり、会社からの安全指示が行えるようになったほか、台風や地震などの災害発生時も、遠隔で現場状況を把握して、迅速な安全管理指示が行えるようになりました。
つまり、現場監督は各現場への移動のムダがなくなり、作業員は手待ちのムダがなくなるという、一石二鳥のシステムなのです。
移動のムダがなくなったとはいえ、現場監督がずっとモニターに張り付いて、各現場の映像を眺めているのは時間のムダですし、施工管理上、重要なシーンを見逃すこともあります。
そこで、次の段階として、WEBカメラの映像を
AIで解析
し、安全管理や工程管理などの自動化や最適化を行っていく方針です。
大和ハウス工業と日本電気は2020年10月から、AI(人工知能)を使ってWEBカメラの映像を解析する実験を行っており、既に現場の防犯性向上のために侵入者を自動検知するシステムを開発しました。今後は、この技術を生かして、安全管理では現場の不安全状況の検知や危険予知などに活用します。
このほか工程管理では、掘削やコンクリートの打設、工場での部材生産、物量倉庫からの部材輸送といった進ちょく状況などをデータベース化し、AIで分析することで工事現場の効率化を図るとのことです。
つまり、複数の現場間での進ちょくや人的・物的リソースの活用状況に、隠れた「ムリ・ムラ・ムダ」がないかを見える化し、さらなる全体的な生産性向上を図っていくということでしょうか。
こうした過程で、省人化、省力化のための新しいシステムや材料、工法などが適材適所に採用されていきそうですね。