大林組がAIでファサードデザイン! 意匠設計者を“超人化”
2022年3月24日

管理人のイエイリです。

コピーライティングの世界では、最初はともかく、テーマに合った言葉を何十、何百と書き出していく数の勝負だそうです。

これは、建築の意匠設計で行うファサードのデザインでも同じなのではないでしょうか。

しかし、限られた時間とコスト中で、過去に見てきた作品の数々を思い浮かべながらデザイン案を作るのは、限りがあります。

こんな設計者のお困りごとを解決するため、大林組は米国シリコンバレーのSRI International(SRI)と共同で、「AiCorb」という画期的なシステムを開発しました。

設計者がシンプルなファサードの原案スケッチを作り、システムに読み込ませるだけで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

AIがファサード案

 

をいくつも作ってくれるのです。(大林組のプレスリリースはこちら

簡単なスケッチを入力すると、AIが様々なファサードのデザイン案を作ってくれる「AIcorb」(資料:大林組)

簡単なスケッチを入力すると、AIが様々なファサードのデザイン案を作ってくれる「AIcorb」(資料:大林組)

AiCorbは、スケッチや3Dモデルに対して、複数のファサードデザイン案を瞬時に提案するAI(人工知能)です。

様々なデザインをAIに学習させてあるので、建物のアウトラインをスケッチしたデータなどを読み込ませるだけで、そのテイストに合ったファサードデザイン案を瞬時に何個でも作成してくれます。

これまでは、顧客の要望を聞き取り、イメージをすりあわせるための多くの時間と手間がかかっていましたが、このシステムによって設計初期の迅速な合意形成が可能になります。

設計者にとっても、自分の頭の中になかった案がシステムから飛び出してくると、デザイナーとしての幅を広げられそうですね。

そして、作成されたファサードデザインは、「Hypar」というAI設計プラットフォームと連携することで、瞬時に、

 

3Dモデル化

 

されるのです。

ファサードのデザインを選ぶと、BIMモデル上に張り付けて3Dでのデザイン検討がすぐに行える

ファサードのデザインを選ぶと、BIMモデル上に張り付けて3Dでのデザイン検討がすぐに行える

Hyparは建設予定地の住所や、建物の階数・高さ、平面形状などの条件から、斜線制限や建築可能なボリュームをAIが考慮して、建物の外形を3Dで提案してくれるシステムです。

AiCorbとHyparを連携した新たな設計手法では、ボリュームデザインからファサードデザインまでを一気通貫で行え、顧客の要望をその場で具体化し合意形成を効率的に進められます。

数多くのファサードデザイン案を空間に並べて比較検討するのも簡単に

数多くのファサードデザイン案を空間に並べて比較検討するのも簡単に

HyparとAIcorbを使ったファサードデザインのワークフロー

HyparとAIcorbを使ったファサードデザインのワークフロー

大林組は、これらのシステムを、東京都内の中規模プロジェクトで検証し、斜線制限を可視化する機能など、必要となる機能を追加実装しながら、実用性を確認しました。

これらのAIシステムによって、意匠設計者がデザイン案を生み出す能力は、まさに“超人化”され、生産性は何十倍にも高まりそうです。

ちなみに、Hypar社は、米国・オートデスク社で、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト、Revit用のビジュアルプログラミングツール「Dynamo」の開発に携わったIan Keoughと、ジェネレーティブデザインに関する開発に従事していたAnthony Hauckらによって2018年に創業された会社だそうです。

まさに、BIMを自動化する最強コンビのノウハウが、大林組の設計ワークフローに導入されたと言っても過言ではありません。

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