管理人のイエイリです。
大分県建設技術センター(大分県大分市)では、コンクリートや土質、鋼材など建設材料の強度や耐久性などの試験を行い、結果を試験成績書として交付する「建設材料試験」を行っています。
1年間に約11万もの測定値を手書きで記録し、約6500枚の試験成績書を発行してきたのです。
一方、これまでの試験業務は、紙ベースで行っていたため、測定値を書き写したり、電卓で手計算したりという生産性の低さも課題でした。
そこで同センターは試験庁舎の建て替えを機に、2019年度の後半から試験事業のDX化に取り組み、2022年4月には、
ナ、ナ、ナ、ナント、
電子申請・電子交付
のシステム稼働させるまでに至ったのです。
試験のワークフローを大幅に変えたのは、QRコード付きの作業指示書です。タブレットとQRコードリーダー、計量器などを連動させ、帳票へのデータ入力を自動化したほか、音声アシストによってヒューマンエラーを排除しました。
これにより、年間11万にものぼる測定値を手書きで記録したり、電卓で手計算したりする作業はゼロになり、ヒューマンエラーを未然に防げるようになりました。
試験を担当する職員も、これまでは試験ごとに専属スタッフを配置していましたが、動画マニュアルを活用して各試験をマルチにこなす“多能工化”を推進。業務量の変化に応じて、柔軟な人員配置が可能になりました。
同センターのウェブサイトにある「材料試験」のコーナーを見てみると、コンクリートの圧縮試験から鋼材の引っ張り・曲げ試験、路盤材のすりへり試験、アスファルト舗装の試験まで、幅広い試験の電子申請・電子が行えることがわかります。
試験の料金や試験完了までの日数も書いてあるので安心ですね。
こうした試験業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化により、利用者の利便性も大幅に向上しました。
オペレーションが効率化されたため、利用者の庁舎内待ち時間は3割短縮されました。
また、試験の受付から試験成績書交付までの日数も大幅に短縮され、土質試験の場合は従来に比べて
6日間も短縮
されたのです。
このほか、電子申請・電子交付の効果として、試験成績書をセンターまで取りに来て、別の役所に提出するための「移動のムダ」もなくなりました。
同センターのDX推進プロジェクトは、2022年度が最終年となります。さらに高品質で短納期の試験体制の確立を目指し、デジタル技術を活用した生産管理に取り組むとのことです。
以前は、“お役所仕事”は遅いというのが世間の定評でしたが、同センターのDX推進には、納期短縮の限界を目指すという気概が感じられます。こうした動きは、各地に広がってほしいですね。