管理人のイエイリです。
1972年、東京・銀座に建設された中銀カプセルタワービル(以下、中銀カプセルタワー)は、故黒川紀章氏が設計した「メタボリズム」の代表作として世界的に有名な建物です。
しかし、建設から50年が経過し、老朽化やアスベストの問題などにより解体が決定し、惜しまれながらも2022年4月から解体工事が始まっています。
黒川紀章建築都市設計事務所(本社:東京都千代田区。以下、黒川設計事務所)とLAETOLI(本社:東京都港区)は、解体されたカプセルの一部について保存活動を行っていますが、このほどさらに踏み込んだ事業を発表しました。
中銀カプセルタワーを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
リアルとメタバースで再建
できる権利をパッケージ化し、オークション形式で発売したのです。(黒川設計事務所のプレスリリースはこちら)
これらの権利は、仮想通貨などで使われている「NFT(Non-Fungible Token)」、日本語では「非代替性トークン」という仕組みを使い、それぞれ世界にただ一人(一社)だけが利用できる権利が保証されています。
「リアル空間」での再建の権利のため、黒川設計事務所は、自社が著作権を所有する建築図面に基づき、中銀カプセルタワーの意匠、構造、設備、そして施工のBIM(ビルディング・インフォメーションモデリング)データを、Revitで作成します。
NFTの権利は、このBIMデータに基づいてリアル空間で中銀カプセルタワーを建設、利用、販売などができるもので、2エディションを発行し、うち1つは黒川設計事務所が所有し、もう1つを販売します。
例えば、デベロッパーやゼネコンが中銀カプセルタワーを実際に建設して、他人に貸したり、販売したりすることができます。
別途、黒川事務所と契約することで、世界各国の法規制にしたがって、中銀カプセルタワーを再建することも可能です。
また「メタバース空間」での再建の権利は、黒川設計事務所が著作権を有する建築図面に基づいて、中銀カプセルタワー全体をデジタルアートとして再現します。
このデジタルアートを所有、利用、販売できる権利をNFTとして、世界でただ一つ、販売します。
メタバース空間に、オフィシャルコンテンツとして、中銀カプセルタワーを完全に再現し、他人に貸したり
バーチャルに分譲
したりと、カプセルを活用した様々なビジネス展開が可能となっています。
販売は、NFT関連の作品などをネット販売する「OpenSea」というサイトで2022年8月31日までオークションが行われ、スタート価格は、最低落札価格としてリアル空間での再建権利、メタバース空間での再建権利はそれぞれ1601.2ドル(約218万円)となっています。
人気の建物だけあって、今後、どれだけの価格に跳ね上がるのかが楽しみですね。こうした権利の販売は、建築設計事務所の新たなビジネスとしても注目されそうです。