管理人のイエイリです。
建物の躯体や橋脚など、コンクリート構造物を施工するときに大事なのが、コンクリートを打ち重ねるときの境い目をなくし、しっかりとつなぐことです。
そのため、コンクリートを打ち重ねたときは、締め固め用のバイブレーター(内部振動機)を、境い目から10cm程度、下の層に貫入し、層間をしっかりとかき乱して一体化させることが推奨されています。
しかし、コンクリートの打設面が低いときなど、上層と下層のコンクリートの境い目がどこにあるのかが、目視ではよくわからないこともしばしばです。
そこで錢高組は、ユアサ商事、インフォマティクスと共同で、生コンの打ち重ね管理を確実に行えるコンクリート締め固め管理システムを開発し、実証実験によって実用化にめどをつけました。
生コンの境い目を“見える化”するのに使ったのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
MR用ゴーグル
のHoloLens2だったのです。(錢高組、ユアサ商事、インフォマティクスのプレスリリースはこちら)
このシステムの特長は、バイブレーターの貫入深さを3次元座標でリアルタイムに判定できることです。
作業員はHoloLens2などを着用して打ち込み箇所を確認しながら作業します。実証実験の結果、仮想空間でのバイブレーター先端位置のXYZ座標は、実空間でのバイブレーター先端位置とほぼ一致していることが確認できました。
このほか、
コンクリートの締め固め度
も色と数値で見える化できるため、施工管理者もタブレットなどでコンクリートの締め固め状態を確認できます。
その結果、未熟練者も締め固め不足のない良質なコンクリート打設が可能になるのです。
3社は今後、打ち重ね管理システムとの連携や、バイブレーターの空間的な位置合わせ精度の向上、演算処理速度の向上などを行い、現場で使いやすいシステムに改善していきます。
そして、2年後にユアサ商事より発売予定とのことです。
コンクリ打設の良否はこれまで、KKD(経験・勘・度胸)で決まることが多かったですが、MRによる見える化やデータ管理によって、経験の少ない人でも高品質なコンクリート構造物が作れる時代になってきたようですね。