管理人のイエイリです。
京都市上京区に本拠を構える演算工房と言えば、土木・建築の施工管理に使う計測や制御から、CIM(コンストラクション・インフォメーションモデリング)構築、クラウド化までをカバーする、幅広い技術力で知られています。
特にトンネル現場では、どこかで同社にお世話になっているところが多いのではないでしょうか。
これまでは「施工管理技術に強い」というのが同社のイメージでしたが、建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れに乗って、このほど「enCommerce」という新機軸の製品を開発しました。
同社のトンネル施工管理システム「CyberNATM」の工程管理データを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
材料の受発注業務
と連携し、スムーズな材料や配車の手配ができるようにする「e-コマースシステム」なのです。(演算工房のプレスリリースはこちら)
トンネル工事は、土木工事の中でも機械化が進んだ分野で、労働生産性向上もトップレベルです。
しかしながら、トンネル内壁を支える「支保工」やロックボルト、吹き付けコンクリートなどの材料発注はいまだに電話やFAXを使っている点でアンバランスでした。
そこで演算工房はトンネル施工管理システム「CyberNATM」の「支保工の仕様に応じた材料情報」や「施工実績に基づいた工事の進行情報」などのデータを活用し、工事で使用する各種材料の搬入時期を予測し、材料メーカーとクラウドで共有できるようにしたのです。
このシステムによって、いつ、どんな材料がどれだけ必要になるのかといった見込み情報を、工事現場と材料メーカーがクラウドで常時、共有できるようになります。
現場側では受発注業務や在庫の把握、ロス率などを一元管理することで受発注情報の明確化や業務効率が向上でき、メーカー側では材料の準備や配車の手配など、予測がしやすくなります。
そして最終的には、
自動発注機能
を実装することで、現場職員の業務を30%削減することを目指しています。
このシステムは、2022年9月から国土交通省のトンネル工事など、6つの現場の協力を得ながら実証実験やバージョンアップを行っており、今後、外販する予定です。
さらに山岳トンネルからシールドトンネルにもこのシステムを拡張する計画で、シンガポールやインドネシア、フィリピンなどの東南アジアへの国際展開も考えているとのことです。
技術的な施工管理業務と、事務的な物流管理業務がクラウドで連携することで、現場内に隠れていた「ひと手間のムダ」や「手待ちのムダ」がなくなり、予想以上の生産性向上が期待できそうですね。