管理人のイエイリです。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場となる大阪・夢洲(ゆめしま)では、これから敷地面積155ヘクタールの規模で建設工事が本格化し、様々な会社の建設作業員や工事関係者が出入りします。
大林組は会場工事全体の統括工事管理者となっているため、自社で施工する範囲だけでなく、工事全体のセキュリティ管理を求められています。
現場への入退場管理に当たっては、不審者の侵入防止が重要ですが、工事のピーク時には1日5000人以上の出入りが予想されるため、入退場管理を効率化することも求められています。
そこで、大林組が導入したのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
世界最高水準の顔認証
技術なのです。(大林組のプレスリリースはこちら)
この顔認証技術は、パナソニック コネクト(本社:東京都中央区)が開発したもので、カメラの画像を鮮明にする技術と、顔の特徴を学習するディープラーニング技術を応用したものです。
ヘルメットやメガネ、マスクを着用したり、ちょっと横を向いていたりしても、エラーが出ることはなく快適に利用できます。
たくさんの工具や荷物を抱えた職人さんも、IDカードなどを取り出す必要がなく、ハンズフリーで“顔パス”で入退場が行えるので、好評です。
この顔認証技術は、2022年1月に公開された米国国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテスト評価レポートで、人種や経年変化を含む顔データによる他人受け入れ率が「10万分の1」で世界1位を獲得するなど、高精度を誇っています。
今後は、入退場管理のほか、シャトルバスの乗降、売店や自販機での決済、重機貸し出しなど、「現場用のマイナンバーカード」のように幅広い用途で使える統合IDプラットフォームシステムを構築していく計画です。
このほか大林組は、現場への新規入場者教育の業務効率化にも取り組んでいます。というのも、現場ごとに同じ内容の研修が年間200日以上も繰り返されていたからです。
そこで2020年に導入したのが4COLORS(本社:横浜市神奈川区)の3Dアバター動画作成サービス「PIP-Maker(Pアイビーメーカー)」です。
プレゼンテーションによく使われている「Microsoft PowerPoint」のデータから、アバターが解説する動画付きeラーニング動画を手軽に製作できるものです。
大林組は「PIP-Maker」を使って新規入場者教育用の動画を650本以上作成しており、いくつかの現場事務所では新規入場し教育の時間が2分の1以下に減るまでになりました。
そして、全社では、
年間1万6000時間以上
の業務効率化を実現したのです。(4COLORSのプレスリリースはこちら)
現場で個人を識別するためのIDカードの取り出しやチェックは、「ひと手間」とは言え、手に持っていた荷物を倒れないように置いたり、持ち直したりが発生します。また、新規入場教育では担当者がビデオのように同じことを毎回、繰り返して説明していることもしばしばです。
こうした現場管理のちょっとした“雑用”をなくしていくようなDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みも、隠れた生産性向上や働き方改革につながりそうです。