大林組が万博現場で毎日5000人を“顔パス”管理! 年間1万6000時間をアバター教育で節約
2023年7月13日

管理人のイエイリです。

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場となる大阪・夢洲(ゆめしま)では、これから敷地面積155ヘクタールの規模で建設工事が本格化し、様々な会社の建設作業員や工事関係者が出入りします。

大林組は会場工事全体の統括工事管理者となっているため、自社で施工する範囲だけでなく、工事全体のセキュリティ管理を求められています。

現場への入退場管理に当たっては、不審者の侵入防止が重要ですが、工事のピーク時には1日5000人以上の出入りが予想されるため、入退場管理を効率化することも求められています。

そこで、大林組が導入したのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

世界最高水準の顔認証

技術なのです。(大林組のプレスリリースはこちら

顔認証システムによる現場入場の様子(写真:大林組)

顔認証システムによる現場入場の様子(写真:大林組)

この顔認証技術は、パナソニック コネクト(本社:東京都中央区)が開発したもので、カメラの画像を鮮明にする技術と、顔の特徴を学習するディープラーニング技術を応用したものです。

ヘルメットやメガネ、マスクを着用したり、ちょっと横を向いていたりしても、エラーが出ることはなく快適に利用できます。

たくさんの工具や荷物を抱えた職人さんも、IDカードなどを取り出す必要がなく、ハンズフリーで“顔パス”で入退場が行えるので、好評です。

この顔認証技術は、2022年1月に公開された米国国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテスト評価レポートで、人種や経年変化を含む顔データによる他人受け入れ率が「10万分の1」で世界1位を獲得するなど、高精度を誇っています。

今後は、入退場管理のほか、シャトルバスの乗降、売店や自販機での決済、重機貸し出しなど、「現場用のマイナンバーカード」のように幅広い用途で使える統合IDプラットフォームシステムを構築していく計画です。

顔認証による現場入退場システムの構成図(資料:大林組)

顔認証による現場入退場システムの構成図(資料:大林組)

自分の顔を「現場用マイナンバーカード」のように幅広い用途で使える統合IDプラットフォームのイメージ(資料:大林組)

自分の顔を「現場用マイナンバーカード」のように幅広い用途で使える統合IDプラットフォームのイメージ(資料:大林組)

このほか大林組は、現場への新規入場者教育の業務効率化にも取り組んでいます。というのも、現場ごとに同じ内容の研修が年間200日以上も繰り返されていたからです。

そこで2020年に導入したのが4COLORS(本社:横浜市神奈川区)の3Dアバター動画作成サービス「PIP-Maker(Pアイビーメーカー)」です。

プレゼンテーションによく使われている「Microsoft PowerPoint」のデータから、アバターが解説する動画付きeラーニング動画を手軽に製作できるものです。

PowerPointのデータをアバターが解説する動画を手軽に作れる「PIP-Maker」。画像をクリックすると説明動画に飛びます(資料:4COLORS)

PowerPointのデータをアバターが解説する動画を手軽に作れる「PIP-Maker」。画像をクリックすると説明動画に飛びます(資料:4COLORS)

大林組は「PIP-Maker」を使って新規入場者教育用の動画を650本以上作成しており、いくつかの現場事務所では新規入場し教育の時間が2分の1以下に減るまでになりました。

そして、全社では、

年間1万6000時間以上

の業務効率化を実現したのです。(4COLORSのプレスリリースはこちら

3Dアバターによる新規入場者教育の様子。全社では年間1万6000時間以上の業務効率化が実現した(資料:4COLORS)

3Dアバターによる新規入場者教育の様子。全社では年間1万6000時間以上の業務効率化が実現した(資料:4COLORS)

現場で個人を識別するためのIDカードの取り出しやチェックは、「ひと手間」とは言え、手に持っていた荷物を倒れないように置いたり、持ち直したりが発生します。また、新規入場教育では担当者がビデオのように同じことを毎回、繰り返して説明していることもしばしばです。

こうした現場管理のちょっとした“雑用”をなくしていくようなDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みも、隠れた生産性向上や働き方改革につながりそうです。

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