管理人のイエイリです。
オートデスクのCADソフト「AutoCAD」は、1982年に2次元CADとして発売されてから40周年を迎えましたが、建設業界では今なお、広く使われています。
従来のようにパソコンにインストールして使うものから、スマホやタブレットなどのモバイル端末用や、Webブラウザーで使えるものなど、バリエーションも増えました。
最近は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及で、CADの影が薄くなった感もありますが、AutoCADは今後、どうなるのでしょうか?
オートデスクは2022年10月13日、オンラインで報道関係者向けに「AutoCAD事業説明会」を開催し、その疑問に答えました。
「AutoCADでも、生産性はまだまだ上がる」と言うのは、AutoCADコンサルタントの井上竜夫氏です。その方法とは、ユーザーが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
新しいコマンドや機能
をもっと知ることなのです。
この40年の間に、AutoCADには様々な機能が追加されてきました。しかし、ユーザーは基本的な機能を一度、覚えてしまうと、もっと効率的に作業できるコマンドがあるにもかかわらず、基本的な機能だけで作業しがちというのです。
例えば、AutoCADは「実寸」で寸法を入力します。注釈に付ける文字の大きさも同様なので、かつては作図時の縮尺に応じて文字の大きさも変える必要がありました。
しかし、AutoCADには十数年前に、異なる縮尺でも同じ大きさに文字が表示される機能が搭載されています。そのことを知らないでいまだに文字の大きさを調整するのに時間をかけている人が結構、いるというのです。
また、土地の面積を計算する「三斜求積」では、その都度、一から図面を描き、それぞれの面積を求めている人もいますが、これは「ダイナミックブロック」の機能を使って、面積表と連動させておくことで、作業効率はぐっと上がります。
40周年を迎えたAutoCADですが、最新版のAutoCAD 2023にも、新たな機能が続々と搭載されています。
オートデスクの大浦誠氏が最も注目する機能として挙げたのは、紙図面に記入されたメモ書きなどをCAD図面に取り込む「マークアップ読み込み」機能です。
紙図面に雲形マークや注釈を手書きしたものをデジタルカメラなどでデータ化し、AutoCADに取り込むものです。
手書き文字などは、OCR(光学式文字読み取り機能)によってテキスト化し、CAD図面上に張り付けることもできます。
また、数多くの角に丸みをつける時、「フィレット」という基本的なコマンドを何度も繰り返して作業しがちです。こんな作業を行っていると、AutoCADの画面に「マルチフィレット」という便利なコマンドがあるよと、
“AI先生”が教えてくれる
「マクロアドバイザ」という機能も搭載されました。
このほか、ユーザーがよく使うコマンドの傾向をAI(人工知能)が分析して、作業の効率化に関連しそうなコマンドなどを表示してくれる「自分のインサイト」という機能もあり、気になるコマンドはすぐにヘルプを見て確認することができます。
ひととおりAutoCADを使えるようになったら、わざわざマニュアルを見に行くのも面倒になりがちです。しかし、マクロアドバイザや自分のインサイトなどによって、作業中に少しずつ、効率的なコマンドを使えるようにしていくと、CAD作業の生産性はまだまだ上がっていきそうですね。