管理人のイエイリです。
清水建設は日本建築センター(BCJ)とともに、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による建築確認申請や検査業務の効率化に取り組んでいます。
第一弾が「BIMデータを活用した建築確認システム」(2020年3月25日付け、2021年4月19日付けの当ブログを参照)、第二弾が「BIMデータとAR(拡張現実)を活用した中間検査のリモート化(遠隔臨場)システムの開発」(2022年4月21日付けの当ブログを参照)で、いずれもBCJが有効性を確認しました。
そしてこのほど、第三弾となる「確認検査支援システム」が開発されました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMと点群データ
を比較して、確認申請と実際の建物の違いを見える化できるのです。
このシステムによって、BIMと点群データの「差分」を計算し、許容値から外れた部分を色分け表示などで可視化できるほか、道路斜線や隣地斜線、避雷保護範囲など見えない携帯制限空間と建物との整合性も確認できます。
BIMデータと点群データはAR化され、タブレット端末(iPad)を使って現場の建物と重ねて見ることができます。
その映像は、テレビ会議システムや5G映像伝送システムで、リアルタイムにBCJのオフィスにも送られ、遠隔地からでも現場の検査に参加できます。
BIMや点群の仮想空間に、様々な人が入り込んで検査を進めて行く方式は、まさに
メタバース完了検査
と言えるでしょう。
BCJはこのシステムを使って、既に清水建設が設計施工を行う三愛会総合病院(埼玉県三郷市。地上7階、床面積1万7200m2、鉄骨造)の任意完了検査を実施しました。
その結果、建築基準法で定める「工事監理の状況の写真及び書類による検査並びに目視、簡易な計測機器等による測定又は動作確認その他の方法」に代替でき、リモート検査にも対応可能と評しています。
また、国土交通省も2022年5月に、指定確認審査機関に対して「デジタル技術を活用した建築基準法に基づく完了検査の立ち合い遠隔実施について」という通達を出し、遠隔での検査を後押ししています。
清水建設ではこのシステムを指定確認検査機関に提案して建築確認検査業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するとともに、現場で収集した360度画像とこのシステムを連携させて設計の工事監理や施工管理業務にも活用していく方針です。