【動画付き】BIMデータとプログラムで法適合判定! BCJから清水建設に確認済証
2021年4月19日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータを使った建築確認申請の審査は、すでにいろいろと行われています。

その方法は、確認検査機関との事前協議で、審査員がBIMデータで建物の3次元形状を把握し、BIMモデルから出力した図面で各項目を一つ一つ、確認するという手作業で行われていました。

清水建設と審査機関の日本建築センター(BCJ)は、この法適合審査を効率化するため、オートデスクのBIMソフト「Revit」やクラウドシステム「BIM360」を使って、業界初となる画期的な取り組みを行いました。

建築確認の事前協議で、BIMデータの各審査項目を

ナ、ナ、ナ、ナント、

法適合判定プログラム

で判定する方法を採用したのです。

BIMデータをプログラムで法適合審査を行うワークフロー(以下の資料:清水建設)

例えば、斜線制限や延焼のおそれのある範囲、採光補正係数の審査には、審査用のビューテンプレートを作成し、それぞれの範囲をBIMモデル上に自動表示させるようにしました。

斜線制限や延焼のおそれのある部分、採光係数を審査するためのビューテンプレート

非常照明設備や避雷設備の法適合判定には、BIMモデル上で審査しやすい表現を行うアドオンプログラム(VPL)を開発しました。プログラミングには、グラフィカルにロジックがわかる「Dynamo」を使っています。

非常照明設備の法適合判定プログラム

回転球体法による避雷設備の保護範囲生成プログラム

Dynamoによるグラフィカルなプログラム

また、構造計算と設計図の法適合確認には、構造システムの一環構造設計プログラム「BUS-6」とRevitを「+Revit Op.」で双方向に連携させて、各部材を照査しました。

その結果、従来は構造計算書と図面の整合性を確認する作業に1週間かかっていたのが、わずか1日でできるようになりました。

構造計算プログラム「BUS-6」とRevitの双方向連動による構造の法適合判定フロー

このシステムは2020年10月から、同社が設計施工を行う三愛会総合病院(埼玉県三郷市。地上7階、床面積1万7000m2、鉄骨造)に実際に適用しました。

BCJは清水建設が開発した法適合判定用プログラム13ツール、ビューテンプレート32種の有効性を確認、事前協議での使用を認めました。

また、この建物は構造計算適合性判定の対象になるため、東京建築検査機構にもクラウドを使ってBIMデータを共有し、構造計算ソフトを使って事前協議を行いました。

その後、法適合を確認したBIMデータから、清水建設がPDFで確認申請図を作成し、本番の建築確認を電子申請で行ったところ、

BCJが確認済証

の発行に必要な手続きを行いました。

BIMデータとプログラムによる適合判定を初適用した三愛会総合病院の完成イメージ

なお、現在の法律では、建築主事による確認申請図書の確認が義務づけられているため、申請図書による事前協議も実施しました。

以下に、防火区画などの判定プログラムや、内装制限の判定プログラム、防火区画を貫通する空調ダクトに防火ダンパーが設置されているかを判定するプログラムの動画を張っておきますので、BIMとプログラムによる判定がいかに楽かをご覧ください。


防火区画などの判定プログラム


内装制限の判定プログラム


防火区画を貫通する空調ダクトに防火ダンパーが設置されているかを判定するプログラム

この取り組みにあたり、清水建設は法に基づく1678件の審査項目を抽出し、BIMオブジェクト(ファミリ)に入力する法関連の属性情報を決めました。

これらの審査項目について法適合確認を行う方法として、Dynamoによる法適合判定プログラム(145項目)、市販ソフト(430項目)、審査ビューテンプレート(1103項目)の3種類に分類しました。

2020年度はこれらのうち約70%の開発を行い、21年度末には完成させることを目指しています。

今後の展開としては、法適合判定プログラムとMR(複合現実)・AR(拡張現実)などのXR技術を活用した建築確認検査システムの開発なども目指しています。

いよいよ、建築確認申請関係の業務も、BIMで大きく変わり始めたようです。

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