AIが工期の遅れやすい場所を“予言”! HEROZと東洋エンジニアリングが「AI for U」を開発
2022年10月28日

管理人のイエイリです。

石油精製プラントなどの工事では、使用する資材量だけでなく、施工のしやすさやスピードも、設計によって大きく左右されます。

これまでは、どんな設計が施工しやすいのかは、設計を担当するエンジニアのKKD(経験・カン・度胸)によるところが大きく、個人によってノウハウに差があったり、網羅的な判断が不十分であったりすることが多々ありました。

そこでHEROZ(本社:東京都港区)と、東洋エンジニアリング(本社:千葉県習志野市)は、プラント工事の工期が遅れがちな場所を設計段階で自動検知するシステム「AI for U」(Underground Constructability Hazard Detection AI)を開発し、実工事での使用を始めました。

「AI for U」の画面(以下の資料:HEROZ)

「AI for U」の画面(以下の資料:HEROZ)

プラントの3次元CADデータ上で、工期が遅れそうな場所を

ナ、ナ、ナ、ナント、

AIが“予言”

し、リスク別に色分け表示してくれるのです。(HEROZのプレスリリースはこちら

AIがCAD図面上に指摘した工期遅れが生じやすい場所。リスク度合い別に5段階で色分け表示されている

AIがCAD図面上に指摘した工期遅れが生じやすい場所。リスク度合い別に5段階で色分け表示されている

「AI for U」の画面説明

「AI for U」の画面説明

「AI for U」が対象とするのは、掘削を伴う地下工事です。

地下構造物が集中している場所では、工程表の上では同じ時期に施工する予定でも、同時並行だと想定以上に時間がかかる場合があります。

また、深い地下構造物の場合には、掘削範囲が想定よりも大きく・長期間になったり、施工後の埋め戻しに想定より時間がかかったりすることもあります。

工期遅れなどの「ハザード」要因は9種類を開発し、初版では7種類をリリースしました。

例えば、「掘削が想定以上に広がる」リスクのあるのは、「ポンプ基礎より配管が深い場合」、「ピットやタワーなど掘削が深い場合」があります。

また、「作業が複雑で作業効率が低下する」リスクのあるのは、「道路上で開削を行う場合」、「掘削深さが様々な場合」、「同じ場所で作業が集中する場合」があります。

工期遅れなどの「ハザード」要因を表示させるメニュー

工期遅れなどの「ハザード」要因を表示させるメニュー

プラントの設計者は、仕様を満たす部材の材質やサイズ、干渉の防止など、細かいことに集中してしまうため、大局的な施工性を考慮する余裕がなくなることもありがちです。

その点、この「AI for U」があれば、現在の設計で施工リスクのある場所が自動的にわかるので、事前に設計を修正して施工時の問題を解決する

フロントローディング

が実現できます。

施工計画時に工程表を作るときも、貴重な資料になりそうですね。

東洋エンジニアリングは2019年7月にDXoT推進部を設置し、DXoT(Digital Transformation of TOYO)というビジョンを推進ルことで、2025年までに生産性を6倍(2019年度比)にすることを目標にしています。(2021年6月18日付けの当ブログ記事を参照

生産性向上の単位はこれまで「割」が常識でしたが、東洋エンジニアリングでは「倍」の単位で生産性向上に取り組んでいます。2025年の同社のワークフローがどのように変わるのかに注目したいですね。

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