管理人のイエイリです。
鉄筋コンクリート造の建物は、コンクリートを打設する前に、配筋や鉄筋の状態をしっかりチェックし、記録しておく必要があります。
中でも、鉄筋の端を加熱して、押し付けてつなぐ「圧接継ぎ手」は基準が厳しく、日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説 鉄筋コンクリート工事編」では、全数検査を行うように規定されています。
圧接継ぎ手の検査では、圧接部分の径や芯ずれ、傾きなどを計測する外観検査があります。これまでは「S.Yゲージ」という、浮く数のゲージと角度計が一体化した特殊な治具を現物に当てて、各数値を計測していました。
しかし、工事現場に現物の鉄筋に接近して計測し、アナログな数値を書き写す作業は手間ひまがかかりますし、ヒューマンエラーや読み取りの個人差も生じやすくなります。
こうした問題を解決しようと、長谷工コーポレーションとスパイダープラスは、iPhone/iPad用施工管理アプリ「SPIDERPLUS」に
ナ、ナ、ナ、ナント、
画面上で外観検査
が行える補助ツールを共同開発したのです。(長谷工コーポレーションのプレスリリースはこちら)

これまでは「S.Yゲージ」を現物に当てて数値を読み取っていたが、今回開発の「ガイドライン機能」によりiPhoneの画面上で圧接継ぎ手の外観検査を行えるようになった(以下の写真、資料:長谷工コーポレーション、スパイダープラス)
この補助ツールは「ガイドライン機能」というもので、圧接継ぎ手にiPhoneをかざすと画面上に計測用のガイドラインが重ねて表示され、これを現物に合わせることで寸法や角度などを計測できるのです。
測定者による誤差が生じず、合否判定が難しい部分の検査も正しく行えます。
このほか、「計算機能」も開発しました。鉄筋の材種や径などの情報をプルダウンメニューで選択するだけで、
定着長などの計算結果
を即時に表示できます。
従来のゲージによる検査では、1人がゲージ当てと読み取り、もう1人が記録や写真撮影と、2人1組でないと行いにくいでしょう。
その点、スマホだけで完結できるようになると、大幅な省人化が実現できそうですね。
長谷工では2018年からSPIDERPLUSを導入し、図面や工事写真など管理に使っています。今回開発した機能は、実際のマンション建設現場で試験運用を行ったのち、本格運用が始まりました。
工事現場では、メジャーや角度計などを現物に当てて測る機会が多くあります。この作業をスマホなどの「画像」や「光線」などで行うことで、生産性向上や省人化の余地は、まだまだありそうですね。