管理人のイエイリです。
「川に油のようなものが浮いている」「魚がたくさん死んでいる」など、河川の水質異常はかなり被害が悪化してから発見され、対策には遅すぎるという例が目につきます。
これまでの水質監視は人間の目視が基本だったため、時々しかチェックできないというのが、その大きな原因と言えるでしょう。
こうした河川の水質異常を常時監視するため、イクシス(本社:神奈川県川崎市)は2023年7月20日に「AI(人工知能)水質監視サービス」をリリースしました。
水質監視の“センサー”として採用したのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
定点監視カメラ
だったのです。(イクシスのプレスリリースはこちら)
イクシスはAIによる画像検査技術を持っており、これまで社会インフラの建設や維持管理の分野で、目視検査の自動化に取り組んできました。
今回のサービスは、その技術を工場排水などの水質監視に応用したものです。
監視カメラには、同社が長年、インフラ業界向けに提供している「GENBA-Monitor」を使います。現場には単管だけで設置でき、電源にはAC100Vのほかソーラーパネルも使えるという手軽さと、通信費込みで月額9800円からという低価格が魅力です。
2023年7月現在では、水面に浮遊する
油膜の検知の実用化
に成功しています。
異常が検知されると、担当者にアラートメールが自動的に送信されます。今後は、浮遊物や泡の発生、色味の変化などもリアルタイムに検知できるようにします。
河川の水質基準には、溶存酸素量(DO)や生物化学的酸素要求量(BOD)、浮遊物質量(SS)など、数多くの項目がありますが、なにか異常が発生したときには、「色が違う」「魚が浮いている」など目に見える現象として現れることが多いです。
このシステムは水質そのものをセンサーで測って分析する過程がなく、監視カメラでいち早く異常を発見し、担当者に知らせることで、様々な異常に対してスピーディーに対応できるのが特徴と言えるでしょう。
イクシスで『「どこでも現場を手の中に」を社会実装』という理念を実現するため、ロボットやAI、デジタルツイン(デジタルの双子)などの“3D連動ソリューション”の開発に取り組んでいます。
つまり、インフラを「大きすぎて把握できない現場」から、「手の中で管理できる現場」へと変えていこうという発想ですね。人手不足がますます激しくなるインフラ管理には、こうした考え方は欠かせなくなりそうです。