管理人のイエイリです。
建物の外壁をタイル仕上げにする工法に、有機系接着剤による「外壁タイル後張り工法」というものがあります。
四角いシート上にまとめた十数枚のタイルの裏面に接着剤を筋状に塗り、シートごと壁に押し付けて、“もみ込む”ように施工します。このとき、もみ込み不足で接着剤がタイルの裏面全体に広がっていないと、壁からはがれやすくなります。
そこで2018年5月に国土交通省は「建築物の定期調査報告における外壁の外装仕上げ材等の調査方法について(技術的助言)」を通知し、施工の検査では一部のタイルをはがして接着剤の充てん状況を「接着率」として数値化し、記録しています。
しかし、接着剤が広がった不規則な形を見て、目分量で接着率を判定するのは時間がかかり、人によってバラつきも出てきます。そして頭も疲れてきそうです。その結果、この検査には多くの時間がかかっていました。
そこで長谷工コーポレーションと、クラウド型施工管理システム「SPIDER PLUS」を開発・販売するスパイダープラス(本社:東京都港区)は、「外壁タイル裏面の接着率判定システム」を共同開発しました。
検査のためはがしたタイルの裏面を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
iPhoneで撮影
するだけで、接着率を自動計算し、合否を即座に判定してくれるのです。(スパイダープラスのプレスリリースはこちら)
その後、検査記録や帳票は、スマホのデータを使い、クラウド施工管理システムならではの便利さで、自動作成されるというわけですね。
両社はこのシステムを1棟14階建て、66戸の共同住宅の建設現場で使用したところ、これまで17時間半くらいかかっていた検査業務が、
わずか5時間半で完了
できました。
タイルの検査業務全体の65%にあたる約12時間も削減することができたのです。生産性では3倍以上になったわけですね。
両社は今後、このシステムの現場使用を通じて精度の向上や業務効率化を図るとともに品質向上と働き方改革の両立を進めていく方針です。
建設業では、残業規制が強化される「2024年問題」が目前に迫っています。あと半年の間に、少しでも時短に役立つシステムを導入し、仕事のムダを省いていく改革をどんどん進めていきたいですね。