大成建設らがメタバース空間で設計承認へ! 意匠、構造、設備のBIMモデルを活用し、360度死角なし
2023年9月14日

管理人のイエイリです。

建設プロジェクトの生産性や品質を大きく左右するものに、発注者や施主が建物などの設計内容にゴーサインを出す「設計承認」があります。

プロジェクトの初期段階で、早めに設計承認が行われ、変更がなければ工事はスムーズに進みます。一方、工事が始まってから変更が多発すると、手戻りなどで工期、工費にも大きな影響を与えます。

そこで大成建設は、日立コンサルティング(本社:東京都千代田区)、GlobalLogic Japan(本社:東京都千代田区)、日立社会情報サービス(本社:東京都品川区)と共同で、「建設承認メタバース」(略称:C2QUEST)の開発に着手しました。

そのイメージ動画からうかがえるメタバースの内容は、お堅い建設用システムとは違い、画面のデザインやゲームコントローラー、建物内を車いすで動き回るなど、ゲームを楽しむような感じです。

「建設承認メタバース」の起動画面。「QUEST」という文字や画面のデザインがなんとなくゲームを思わせます(以下の写真、資料:大成建設)

「建設承認メタバース」の起動画面。「QUEST」という文字や画面のデザインがなんとなくゲームを思わせます(以下の写真、資料:大成建設)

ナント、ゲームコントローラーも登場

ナント、ゲームコントローラーも登場

車いすに乗って、リアルな病院内を駆け抜けることも

車いすに乗って、リアルな病院内を駆け抜けることも

その内容は、意匠、構造、設備が一体化したBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使って、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

建物全体をチェック

 

しながら、各部の設計承認をもらうという仕組みなのです。(大成建設のプレスリリースはこちら

建設承認メタバースを使った設計承認の会議イメージ。現場事務所内の大型モニター画面に建物のBIMモデルや図面が映し出される

建設承認メタバースを使った設計承認の会議イメージ。現場事務所内の大型モニター画面に建物のBIMモデルや図面が映し出される

遠隔地にいる設計承認者も、もちろんオンラインで参加可能

遠隔地にいる設計承認者も、もちろんオンラインで参加可能

「エントランスの床面仕上げ」など、本日の議題は「ミッション」として掲示される

「エントランスの床面仕上げ」など、本日の議題は「ミッション」として掲示される

これまでの設計承認は、意匠、構造、設備の図面やCGパースなどを使って説明や承認が行われてきましたが、意匠デザインの変更が構造や設備に影響を与えたり、CGパースも画角が限られているため“死角”があったりと、完全に確認できない部分もありました。

その点、BIMモデルをベースとしたメタバースだと、意匠の変更によって構造、設備の設計変更が必要なこともすぐわかり、建物内外装も360度、死角なく確認したうえで設計承認が行えます。

BIMモデルの各部分は、それぞれ「契約図」にひもづいており、メタバース上で承認すると、その日付によって図面に承認がもらえたことになります。

承認時の議事録も自動作成され、BIMモデルにひもづけられるので「言った、言わない」といった論争もなくなりそうですね。

アバターを使って建物の外をウオークスルーし、外装や外構のチェックを行っているところ

アバターを使って建物の外をウオークスルーし、外装や外構のチェックを行っているところ

エントランス内部の床、壁、天井の内装などを確認しているところ

エントランス内部の床、壁、天井の内装などを確認しているところ

受付カウンターの高さは1200mmでよいかという、細かい寸法も実寸イメージで確認のうえ、承認してもらえる

受付カウンターの高さは1200mmでよいかという、細かい寸法も実寸イメージで確認のうえ、承認してもらえる

BIMモデルの各部分は、契約図とひもづいており、保留、否認、承認などの日時が記録される

BIMモデルの各部分は、契約図とひもづいており、保留、否認、承認などの日時が記録される

つまり、BIMモデル上で

 

“バーチャル竣工”

 

した建物を見ながらの設計承認なのです。

着工前でも、完成後の建物に行った感じで設計承認が行えるので、施主が安心できるだけでなく、施工側もフロントローディング効果で、施工の生産性向上や働き方改革にもつながりそうですね。

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