管理人のイエイリです。
建物のデザインや建設コストは、構造設計に大きく左右されます。しかし、構造設計用のモデルを作成して応力解析を行い、それを設計に反映して積算というこれまでのワークフローは時間がかかり、柱や梁が「もつ」「もたない」の検討に終始しがちでした。
そこで竹中工務店はAI(人工知能)開発企業、HEROZ(本社:東京都港区)とともに、構造設計業務を自動化するため「構造設計AIシステム」を開発し、このほど全面導入しました。
その特長は、プロジェクトの初期段階で、建物の構造計画や部材断面を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIでスピード決定
できることなのです。(竹中工務店のプレスリリースはこちら)
竹中工務店は、2001年に独自開発した構造設計システム「BRAINNX(ブレインエヌエックス)」で、建物約500件、構造部材約30万件もの設計を行い、その情報は社内の「建設デジタルプラットフォーム」に蓄積されています。
「構造設計AI」は、その情報を学習しており、まず「AI建物リサーチ」という機能で、類似性の高い過去物件を自動検索し、数量比較表を自動作成してくれます。
次に建物の形状や床面積、階数などの概略データを入力すると、「AI断面推定」の機能によって柱や梁などの配置や必要断面寸法を推定します。
これまではベテランの構造設計者が過去の仕事を思い出しながら、「あのビルではこんな断面だったな」などと、断面を仮定していたところですが、過去の設計実績から「データドリブン」な手法で同様なことが行えるのです。
その次の特長は、「AI部材設計」の機能によって、何度も
何度も構造解析
を繰り返せることです。
同じ骨組み構造でも、柱や大梁の断面などを少しずつ変えて解析を繰り返すことで、安全性や生産性の高い最適な構造設計案を追求できます。
これまでの構造設計のワークフローだと、手間ひまがかかるので、柱や梁が「もつ」ことが確認するまでが大仕事でした。
そのルーティン的な作業を自動化し、繰り返し行えるようにしたことで、Q(品質)、C(工費)、D(工期)、S(安全)、E(環境)の高付加価値化を目指す“攻めの構造提案”も可能になりそうですね。