Archicadの新サブスク版でBIMcloudが無料に! グラフィソフト本社がVR/AR、AI戦略などを発表
2023年10月6日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト、「Archicad」の開発元であるGraphisoft(以下、グラフィソフト)の本拠地はハンガリーのブダペスト郊外にある「グラフィソフトパーク」という工業団地にあります。

「パーク」という名前の通り、工業団地とはいえまるで公園のような場所です。すぐ裏には、あの“美しく青き”ドナウ川が流れているのです。

グラフィソフトパーク内に建つグラフィソフト本社(左)と、そのすぐ裏を流れるドナウ川(右)(写真:家入龍太)

グラフィソフトパーク内に建つグラフィソフト本社(左)と、そのすぐ裏を流れるドナウ川(右)(写真:家入龍太)

2023年10月4日、この本社ビルで最新版の「Archicad 27」をはじめとするグラフィソフトのDX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略を発表する「Building Together Connect」というイベントが開催され、世界のBIM関連ジャーナリストが招かれました。

「Building Together Connect」でグラフィソフトのDX戦略について語るヒュー・ロバーツ(Huw Roberts)CEO(左)と、世界から集まったBIM関連ジャーナリスト(右)

「Building Together Connect」でグラフィソフトのDX戦略について語るヒュー・ロバーツ(Huw Roberts)CEO(左)と、世界から集まったBIM関連ジャーナリスト(右)

最新版の「Archicad 27」の重点開発テーマは、デザイン、ドキュメント、ビジュアライズ、コラボレートからなる(以下の資料:Graphisoft)

最新版の「Archicad 27」の重点開発テーマは、デザイン、ドキュメント、ビジュアライズ、コラボレートからなる(以下の資料:Graphisoft)

今回、バージョンアップされたArchicadなどの重点開発テーマは、デザイン、ドキュメント、ビジュアライズ、コラボレートです。

それを象徴するのが、「Archicad Collaborate」という新たなサブスクリプション版が登場したことです。

ArchicadとBIMcloudがセットになったサブスク製品「Archicad Collaborate」が登場した

ArchicadとBIMcloudがセットになったサブスク製品「Archicad Collaborate」が登場した

ArchicadとBIMプラットフォーム「BIMcloud」がセットになった製品ですが、年額料金は税込みで41万8000円と、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

BIMcloud分は無料

 

という価格設定になっているのです。

意匠、構造、設備の設計者や現場の技術者など、様々な建設関係者がコラボしながら、BIMで設計や施工管理を進めていくためには、もはやクラウドによる「コネクト」は欠かせなくなったことを感じさせる製品です。

Archicad自体の新機能としては、様々なデザインの代替案を検討しやすくした「デザインオプション」や、柱や壁などから正確な位置に窓などの部材を配置できる「距離ガイド」、BIMオブジェクトを作成する言語「GDL」の編集機能の改良などがあります。

このほかVR(仮想現実)やAR(拡張現実)との連携のための「FBX」形式のデータ入出力機能や、ダクトや配管などの設備をモデリングする「MEPモデラー」の改良、構造計算用モデルの書き出し機能の改良、他社のBIMソフトとデータ交換を行う「IFC4」の入出力機能のbuildingSMARTによる検定合格など、「コネクト」に関連する機能が強化されました。

デザインの代替案を検討しやすい「デザインオプション機能」のイメージ

デザインの代替案を検討しやすい「デザインオプション機能」のイメージ

ダクトなどをモデリングする「MEPモデラー」機能の強化

ダクトなどをモデリングする「MEPモデラー」機能の強化

また、ArchicadのBIMモデルをスマートフォンやタブレットで閲覧するビューワーアプリ「BIMx」は、単にモデルの閲覧だけでなく、現場で課題や設計変更の要望などを入力し、BCFというデータ形式でBIMモデルにひもづけて設計者に戻すラベル機能が強化されました。

ビューワーアプリ「BIMx」では、設計変更などをBCF形式でフィードバックする機能が強化された

ビューワーアプリ「BIMx」では、設計変更などをBCF形式でフィードバックする機能が強化された

日本では発売されていませんが、設備設計用の本格的な3次元CADソフト「DDScad」も、電気配線の電流を自動集計したり、配線を設置するケーブルトラフの設計機能が強化されたりしています。

今回の発表では、Archicadからの構造設計用のモデル書き出し機能やMEPモデラーの改良、DDScadの機能アップなど、設備設計面もかなり力が入っていることがうかがわれます。

Archicad本体の「MEPモデラー」機能とともに設備設計用の「DDScad」も機能強化されている

Archicad本体の「MEPモデラー」機能とともに設備設計用の「DDScad」も機能強化されている

日本語版のArchicad 27のサブスク版は2023年9月27日に発売されており、永久ライセンス版は10月10日に発売されます。詳しくは、グラフィソフトジャパンのウェブサイトをご覧ください。

新バージョンのリリースが発表されたばかりですが、グラフィソフトでは次期バージョンの開発が既に始まっており、その中には、

 

生成AIを活用した新機能

 

に関するものも多く含まれているところが興味深いです。

次期バージョンに向けての研究開発分野の例。AIに関するものも多い

次期バージョンに向けての研究開発分野の例。AIに関するものも多い

例えば、AIを利用したデザインの発想やビジュアライゼーション、設計支援などです。

具体的には建物のコンセプトを決めた後、生成AIに「木材を表面に出したモダンなオフィス」などのプロンプトで様々なバリエーションのデザインを作り、それをもとに設計を仕上げていくといったワークフローを想定しているようです。

AIによる木質感あるオフィスのデザインワークフローのイメージ

AIによる木質感あるオフィスのデザインワークフローのイメージ

グラフィソフトジャパンでは、今回のバージョンアップについてのオンライン発表会「Building Together Japan 2023」を10月20日(金)に開催します。ご興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。(詳細、参加申し込みは、こちらから

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