管理人のイエイリです。
2023年度から、国土交通省の直轄工事でBIM/CIMが原則適用されました。また、2024年度からは、建設業の残業規制が厳格化される「2024年問題」が控えています。
そんな中、石井土木(本社:仙台市青葉区)はこのほど、自社の業務で培ったICT施工などのデジタル活用技術を他社に提供する「DXソリューション事業」をスタートさせました。
3Dレーザースキャナーで計測した現場の点群データと、切り土・盛り土や躯体、仮設などの「BIM/CIMモデル」を統合し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
土木現場のデジタルツイン
を作成し、データとして納品する事業なのです。(石井土木のプレスリリースはこちら)
例えば、砂防ダムの起工測量は、地上型3Dレーザースキャナーを使用し、10分弱で直径数百メートルの範囲の地盤を、ミリ単位の精度で点群データ化します。
その点群データと、砂防ダムの躯体やコンクリート打設用の型枠や足場、仮設道路などのBIM/CIMデータを組み合わせて、現場をデジタルツイン化するというわけです。
このデジタルツインを使うことで、施工会社は切り土・盛り土量をはじめ、1リフトごとの生コン打設量や型枠総面積、足場・支保工材料の数量などを高精度かつスピーディーに算出できます。
同社の強みは、自社で施工を行っているため、デジタルツインをもとに施工現場で想定される危険箇所や干渉部分を発見し、ユーザーにフィードバックしたり、最適なICT施工用のデータを提案したりできることです。
つまり、
バーチャルに工事を完成
できるレベルまで、デジタルツインの完成度を上げて提供できるのです。
こうしてでき上がったデジタルツインは、視覚的に分かりやすいので地元説明や発注者との打ち合わせでスムーズに進み、着工早めることができるほか、合意形成のスピードや満足度を上げることができます。
また完成度を高めたBIM/CIMデータは、ファイル変換してICT建機に取り込むことで「丁張レス」施工が可能になり、工事の生産性も高めることが可能です
石井土木では、「施工性が高くローコストな最適プランを安価に提供する」とのことですので、工事の“バーチャル完成”までのデータ作成は同社に任せ、自社はそのデジタルツインやBIM/CIMデータを打ち合わせやICT建機でフルに活用し、工事の生産性を上げることに注力する、といった分業戦略も可能になるかもしれませんね。
なお、石井土木は1996年の創業で、土木分野のデジタル活用に注力してきました。また正社員雇用を原則とし、社会保険や退職金制度、資格取得支援制度を導入するなど、福利厚生や働き方改革にも力を入れています。
2024年問題への対応や生産性向上、働き方改革などの実践の仕方を学ぶモデルケースとしても、参考になりそうですね。
●石井土木の働き方改革の施策例
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