管理人のイエイリです。
富士フイルムは、現場写真からコンクリートのひび割れを、AI(人工知能)で自動検出する画像診断サービス「ひびみっけ」を2018年に開始しました。
以後、このサービスは国土交通省の「NETIS」にも掲載され、全国47都道府県で、1200社以上が利用しています。(2019年8月27日の当ブログ参照)
同社はこのサービスで培った技術をさらに進化させ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
トンネル点検DX
ソリューションを開発し、2023年10月17日に提供を開始したのです。(富士フイルムのプレスリリースはこちら)
このサービスは(1)トンネル撮像システムの貸与、(2)高精細な画像展開図の自動作成とAIによるひび割れ検出、(3)クラウド上での画像データ保管・活用からなります。
(1)のトンネル撮像システムは、最新世代のイメージセンサーを搭載した複数のデジタルカメラを搭載したものです。暗いトンネル内でも解像度の高い画像を撮影でき、タブレットで複数のカメラを同時に制御できるので効率的に作業できます。
(2)の高精細な画像展開図は、ひびみっけで培った最先端の画像処理技術を使って、大量の画像データを高速で自動合成します。そして、AIでひび割れを自動検出し、専用ビューアー上に表示します。
(3)のクラウド上での長期データ保管によって、過去の点検結果の表示や、経年変化の差分比較も簡単に行えます。
北陸電力は2023年度の水力発電所の水路トンネル点検業務に、このソリューションを活用することになりました。
これまでの水路トンネル点検は、照明のない長さ数百m~数kmのトンネルを5~6人の熟練技術者が目視で点検していたため、大きな負担になっていました。
その点検にトンネル点検DXソリューションを使うと、現地での作業は熟練技能者1人と撮影作業者2人の3人で行うことができます。
3kmのトンネルの画像展開図を作る時間は、手作業で行うと数カ月かかりますが、自動合成だと
約1週間で完了
できるとのことです。
オフィスにいながら、展開図を使って点検できるので、大幅に楽になり、トンネルの健全度をじっくりと正確に把握できます。
富士フイルムでは、トンネル点検DXソリューションの機能強化を進め、点検対象を水路トンネルから鉄道や道路のトンネルまで広げていく方針です。
点検業務はこれまで近接目視が中心でしたが、これからは現場を映像などでデジタルデータ化し、AIなどを使ってオフィスで点検するのが働き方改革のセオリーになりそうですね。もちろん、2024年問題にも大きな効果を発揮しそうです。