管理人のイエイリです。
建物や構造物が密集する都心の地下に、上下水道やガス、通信ケーブルなどのライフラインを建設する方法として、小口径のシールドトンネルは有効な手段です。
内径が小さなトンネルになると、工事用の資材などを運搬するためにバッテリー 機関車にけん引された“ミニ列車”を使いますが、問題はバック運転の時に運転席からの視界が悪くなることです。
そこで、建設機械レンタル会社のアクティオ(本社:東京都中央区)と熊谷組は共同で、トンネル施工時の線路内の安全性向上を図るため「軌道装置接近警報システム」を開発しました。
列車に搭載した無線カメラの映像から、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIで線路内の人物
を自動的に検知し、アラートを出してくれるのです。(熊谷組のプレスリリースはこちら)
システムは運転席と反対側の列車端部に搭載する「カメラユニット」と、運転席側に設置する「監視モニターユニット」からなります。カメラで進行方向側を撮影した映像は、無線で監視モニター側に伝送されます。
バック運転の時、運転席側では無線カメラの映像が見られるので、視界はぐっとよくなりますが、さらにAI(人工知能)によって線路内に人がいた場合、警報器がなるのでますます安全運転が可能になります。
AIに人物を検知させるため、事前にシールド坑内を撮影した動画をAIに学習させました。撮影時には人を線路上や安全通路上に配置して、人物が写った画像フレームにタグ付けして教師データとして学習させました。
次に、安全通路にいる人は除外するように映像にマスクをかけて再学習させて、線路上にいる人だけを検知できるようにしました。
両社は内径2.55mのシールドトンネル内で、このシステムの試行試験を行いました。その結果、線路上にいる人だけを検知できることを確認しました。
またトンネル内での無線による映像伝送は、全く見通せない半径25mの急曲線区間をはさんでも186mまで届き、列車の長さには影響を受けないこともわかりました。
今後、両社はバッテリー機関車とこのシステムを連携させて、
坑内自動運転
が可能になるように、開発を進めていく方針です。
そうなるとシールドトンネルの工事現場は、ますます省人化が進み、工場のようになっていきそうですね。