神戸市水道局と日立システムズが減圧弁管理をIoT化! さらにAIで故障予知も実現へ
2024年10月17日

管理人のイエイリです。

神戸市は六甲山系の起伏に富んだ地形のため、上水道の給水は配水池からの自然流下方式で行っています。

そのため、場所によっては圧力が高くなりすぎることもあるため、市内の配水管に60カ所以上の減圧弁を設置し、水圧の調整を行っています。

減圧弁の維持管理はこれまで、現場を回って水圧計のデータを定期的に回収する必要があったほか、修理は減圧弁に障害が発生してから対応する「事後保全」によって行われてきました。

そこで神戸市水道局は、日立システムズ(本社:東京都品川区)の「CYDEEN水インフラ監視サービス(水圧監視)」を2023年7月に導入し 、減圧弁の水圧を

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

リアルタイムに監視

 

できるようになったのです。(日立システムズのプレスリリースはこちら

水圧をリアルタイムに監視するため、減圧弁の下流側に取り付けられた圧力センサーやセルラーLPWAなどの機器(以下の写真、資料:日立システムズ)

水圧をリアルタイムに監視するため、減圧弁の下流側に取り付けられた圧力センサーやセルラーLPWAなどの機器(以下の写真、資料:日立システムズ)

減圧弁水圧監視システムの概要

減圧弁水圧監視システムの概要

減圧弁水圧監視システムは、減圧弁の下流側にある水圧監視装置のデータを、セルラーLPWA通信網でクラウドに収集し、監視するものです。

このシステムを導入して1年超ですが、すでに神戸市は水圧データの自動収集ができるようになり、遠隔でリアルタイムに水圧の異常を監視できるようになりました。

その結果、実際に減圧弁の故障が発生したときも、故障箇所を迅速に特定し、即時復旧する対応が可能になりました。

それだけではありません。神戸市水道局は日立システムズとともに上水道の

 

水圧データをAIで分析

 

することで、減圧弁の故障する予兆を検知できることも分かったのです。

AIで作成した管理図と水圧の変動を比較して減圧弁の故障を判定するイメージ

AIで作成した管理図と水圧の変動を比較して減圧弁の故障を判定するイメージ

2024年1月にある減圧弁に異常が発生したときの水圧データを、故障発生前にさかのぼってAI(人工知能)で分析したところ、故障が判明した約1カ月前から、毎日0時~6時の時間帯で水圧が上振れしていたことが分かりました。

原因は、減圧弁内部のねじの緩みなどでした。そのため、水圧が故障前から徐々に上昇し始めていたのです。この方法を日々の維持管理に導入すると、異常を従来の「しきい値」で検知する前に、AIで検知できることになります。

日立システムズは今回の研究の検証をさらに進めて、2025年度からサービス開始を目指しています。

AI分析によって減圧弁故障の予兆を検知するイメージ

AI分析によって減圧弁故障の予兆を検知するイメージ

神戸市水道局と日立システムズの取り組みは、これまで現場を回って水圧データを回収していたのを、「IoT」(モノのインターネット)化でリアルタイム遠隔監視を実現したことからスタートしました。

その1年後には、AI監視を導入して減圧弁が故障する前に修理などを行う「予防保全」を視野に入れるとは。上水道DX(デジタル・トランスフォーメーション)のスピーディーな展開には驚かされます。

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