管理人のイエイリです。
コンクリート構造物のひび割れなどの点検はこれまで、技術者が現場に出向き、近接目視しながら写真や野帳で記録し、事務所に戻ってから報告書を作るという手順で行っていたので、労働集約的な作業でした。
しかし少子高齢化による人手不足が年々深刻化し、老朽化する社会インフラが増加する今、これまでのような方法では点検が追いつかなくなります。
そこで応用地質の子会社であるOX(本社:東京都渋谷区)は、コンクリート構造物の変状が疑われる部分をピックアップするスクリーニング点検を効率的に行う「OX点検」というサービスをこのほど開始しました。
コンクリート構造物の写真から、ひび割れなどの変状は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIで自動分析
するのです。(応用地質のプレスリリースはこちら)
そのワークフローは、(1)現場で構造物を撮影する→(2)AI(人工知能)で変状を自動検知→(3)AI解析結果の目視確認、修正→(4)レポートの作成という流れになります。
これらの作業は、OX社が撮影からレポート作成までを一貫して行います。
まずは2024年12月に、コンクリート柱のひび割れ点検サービスを提供開始します。デジタルカメラで柱4面の展開図を作成し、ひび割れの位置や形状を記録したレポートを作成します。
従来に比べて納期は約50%短縮し、料金はコンクリート柱
100本で50万円から
とコストも大幅に削減できるのです。
AIによる自動分析結果を、人間の目でチェックする方法なので、一つひとつ人間が現場でひび割れを発見し、手作業で記録する方法に比べると、生産性向上と働き方改革が実現できそうですね。
OX社はこのほか、様々な社会インフラ設備の点検業務に特化したAIアプリを簡単に構築できる「OXプラットフォーム」の提供も開始しました。(応用地質のプレスリリースはこちら)
ひび割れ検知AIや遊離石灰検知AI、ひび割れ幅や長さ測定モジュール、変状展開図作成モジュールなどがあらかじめ用意されているので、教師データを用意してAIに学習させるといった手間がかからず、短期間で低コストに、高精度な点検アプリケーションを開発できます。
OX社では有償のカスタム開発で、ユーザー企業のデータを活用した検出精度の向上や独自の解析モジュールの統合なども行うことができ、2024年度中に数社との連携サービスをリリースする予定です。
これらのシステムは、人間がAIに仕事を奪われるというより、人間がAIを使ってレポート作成スピードを“超人化”するという活用指向なので、人手不足に悩む維持管理業界に大いに歓迎されそうですね。