管理人のイエイリです。
人手不足に悩む建設業にとって業務の遠隔化は、生産性向上と働き方改革を両立できる重要戦略となりつつあります。
そんな中、奥村組と奥村機械製作(本社:大阪市西淀川区)は、建設業の遠隔操作の歴史に新たな一歩を刻みました。
大阪市内にある奥村機械製作の本社オフィスから、
ナ、ナ、ナ、ナント、
台湾のシールド機を遠隔操作
することに成功したのです。(奥村組のプレスリリースはこちら)
遠隔操作したのは、約1800km離れた台湾の新竹市の「宝山シールド工事」の現場で施工中のシールド機です。直径4530mm、延長2813mのシールドトンネルを泥土圧シールド工法で掘進していました。
このシールド機の制御用コンピューターをインターネットに接続し、大阪から掘削、推進、排土の設備を操作できることを確認したものです。
1800kmも離れていると、オペレーターからの遠隔操作信号の遅れが心配になりますが、タイムラグは1秒以内で、操作に問題はありませんでした。
また、遠隔操作と言えば、通信回線のトラブルが気になります。
そこで意図的にインターネット接続を遮断し、復旧する試験を行ったところ、通信が復旧した後は即座に
システムが自動接続
し、遠隔操作を再開できることを確認しました。
両社は今後、通信や施工の安定性をさらに検証し、台湾で施工を予定している4件のシールド工事(シールド機合計18台、総延長27km)や国内工事でこのシステムを活用する予定です。
シールド機の熟練オペレーターは、貴重な存在です。この実験が成功したことで、インターネットに接続できる環境があれば、オペレーターは各現場に常駐する必要はなくなり、日本から国内外どこのシールド機でも監督や操作が行えるようになりました。
また、各現場にいるオペレーターも、“名人”から遠隔で直々の指導を受けられるので、オペレーターの効率的な育成にも役立ちそうですね。