長崎県松浦市に本社を置く東興産業は、2025年3月4日、長崎県県北振興局農林部から発注された工事で施工した波返し工の現場見学会を行いました。
長崎県の海岸構造物も老朽化が進んでいますが、職人不足や工期の長期化などにより、発注者も悩んでいます。
こうした問題を解決するため導入したのが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dプリンターによる施工
だったのです。
通常、波返し工は下部と上部に分けて、現場で型枠を組んで施工するところです。
一方、東興産業はPolyuse(本社:東京都港区)製の3Dプリンターで上下一体型の埋設型枠を作り、内部に鉄筋を入れて現場に設置。最後に生コンクリートを打設して一体化するという方法を採りました。
波返し工の施工を3Dプリンターで行ったのは、国内で初めてとのことです。
従来の現場打ちコンクリート方式と、3Dプリンターで造形した型枠を使う方法を比べると、現場での作業日数が
19日から3日へ
8割も短縮できました。
●3Dプリンターによる現場での時短効果要因
項目 | 内容 |
---|---|
施工全体費用削減 | ・工期短縮による仮設費や人件費の低減 ・工程簡易化により事務調整工数が低減 |
型枠工程が不要 | ・セパレーター溶接などの危険作業の減少 ・普通作業員による作業で完結 |
脱型工程削減 | ・型枠などの資材不要による廃棄物削減 ・身体的労働負荷の低減 |
表面補修等の処理不要 | ・工場生産につき補修塗装等の作業が不要 ・脱型後のイレギュラー工程が軽減 |
設置直後の埋め戻し可能 | ・作業スペース確保、施工性、安全性向上 ・埋め戻し後の工程をすぐに開始できる |
現場環境に応じた形状 | ・現場重機規格の重量要件に対応し効率化 ・段差やR形状の箇所にも対応し施工性向上 |
その結果、工期内に無事、工事を完了できたとのことです。
3Dプリンターを使うと、現場での型枠加工やセパレーターの溶接、脱型、表面補修などの細かい作業が不要になる上、型枠の廃棄も不要になるので、工期やコストだけでなく安全や環境の点でもメリットがありそうですね。
Polyuseは2025年度に国産の3Dプリンター「Polyuse One」を発売しますが、すでに30台の予約が埋まっているとのことです。
今後、3Dプリンターを使った施工風景や出来上がった構造物が、各地で見られるようになりそうですね。
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