管理人のイエイリです。

これからの工事現場では、自動制御の重機が増える一方、人がだんだん減っていくことが予想されます。

そんな中、心配されるのが重機同士の接触事故です。

こうした未来の現場を見据えて、萩原建設工業（本社：北海道帯広市）は、現場用IT開発企業、アーキット（本社：北海道札幌市）と共同で、重機の周囲を監視する監視カメラシステム「重機の後方警戒AI」（仮称）を開発しました。

運転席からの死角となる重機の周囲をぐるりと監視するために搭載された監視カメラ（以下の写真、資料：萩原建設工業）

広角カメラでとらえた重機周囲の映像

このシステムは、運転席からの死角となる重機の後方や側方に広角カメラを設置し、運転席から見られるようにするものですが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

AIが人や重機などを識別

し、運転席のモニターや重機のパトランプ、外部のモニターに警告するのです。（萩原建設工業のプレスリリースはこちら）

重機の近くにいる人を検知し、運転席のモニターに表示された警告画面

AI（人工知能）で識別できる対象物は、人や重機のほか、車やカラーコーンなどです。重機はダンプトラックやショベルカー、ブルドーザー、ホイールローダーなど、車種まで識別できます。

検知対象物は、設定画面で選び、簡単に設定できます。

検知対象物を設定する画面。人のほか、車種別に重機を選んで設定できる

これまでも重機用の作業員接近検知システムは数多くと開発されてきましたが、ICタグを持っていない作業員は検知できなかったり、重機は認識できなかったりという課題がありました。

萩原建設工業は、こうした課題を解決し、現場の安全性を高めるために、

より実用的、包括的

なAIシステムの開発に乗り出したのです。

施工の自動化や遠隔化が進むと重機同士や重機と車両の接触事故リスクが高まり、現場から人が減ると人の存在も見落とすリスクも高まります。

こうした近未来の状況を予測した“次世代型のAI重機カメラ”と言えそうです。

重機の種類を識別できるのでダンプトラックに土砂を積み込むときは、ダンプを除外しておくといちいちダンプ接近のアラートが出ないので、便利ですね。また、カラーコーンは側面を踏んで壊してしまいがちなので、現場の備品を守るためにも認識できるとありがたいです。

こうした細かいところまでを考えて開発したのは、現場のニーズや状況を知り尽くした建設会社ならではの強みと言えるでしょう。