台湾のシールド機を日本から遠隔操作! 奥村組が“超没入感コックピット”を開発
2026年4月14日

管理人のイエイリです。

トンネル工事の世界では、シールドマシンを動かせる熟練オペレーターの存在が、とにかく重要ですが、技能労働者の高齢化や入職者の減少が進み、現場では「機械はあるのに、任せられる人が足りない」という悩みが現実味を帯びてきました。

シールド工事は一般の重機のように前だけ見ていれば済む話ではなく、掘削、推進、排土、さらに機内の動きまで気にしながら進める世界です。こうなると、熟練者を毎回現場に張り付けるやり方も、そろそろ限界が見えてきます。

もぐらのように地中を掘り進むシールドマシン(以下の写真:奥村組)

もぐらのように地中を掘り進むシールドマシン(以下の写真:奥村組)

そんな中、奥村組(本社:大阪市阿倍野区)と奥村機械製作(本社:大阪市西淀川区)が打ち出したのが、シールドマシンの遠隔操作システムです。

しかも、日本から

ナ、ナ、ナ、ナント、

台湾のシールド機

を遠隔操作するものなのです。(奥村組のプレスリリースはこちら

台湾で稼働中のシールド機を後方から見たところ

台湾で稼働中のシールド機を後方から見たところ

つくば市に設置されたコックピットから台湾のシールド機を遠隔操作するオペレーター

つくば市に設置されたコックピットから台湾のシールド機を遠隔操作するオペレーター

台湾の現場で遠隔操作状況を確認する施工管理者

台湾の現場で遠隔操作状況を確認する施工管理者

奥村組技術研究所(茨城県つくば市)はこのシステムを使って、台湾・桃園市で稼働中のシールドマシンを実際に遠隔操作しました。

単にシールド制御用のパソコンにネットワークで接続しただけではありません。シールド工法の主要機構である掘削、推進、排土を操作し、シールド掘進を遠隔で実施したのです。

建設DXもここまで来ると「遠隔臨場」の次は、「遠隔施工」の時代がやってきたと言いたくなりますね。

このシールドマシンの遠隔操作システムは、インターネット環境下であれば、すべてのシールドトンネル工事で遠隔操作を可能にすることを狙ったものです。

今回の開発では、セキュリティーを高めることも行い、システム利用者のアカウント認証に二要素認証(MFA)を実装し、ログ管理を徹底する運用ルールも整えました。

その操作環境は「NIST Cyber Security Framework」や「CIS Controls バージョン8」を参考に構築し、外部監査も受けているほどです。

現場の施工機械がネットで乗っ取られて、変な方向にトンネルができてしまったりすると大変なことになりますので、この姿勢はかなり大事ですね。

奥村組技術研究所内に設けられた遠隔操作用コックピットには、実際の運転席と同様にタッチパネル式操作スイッチと各種モニターが並べられ、シールドマシンの操作経験者なら特別な訓練を必要とせず操作できる仕様にしました。

実際の運転席と同様なモニター

実際の運転席と同様なモニター

タッチパネルで操作できるスイッチ類

タッチパネルで操作できるスイッチ類

そして、運転席の脇には

ドーム型スクリーン

を設置し、シールド機内部の作業状況を超広角映像と音声でリアルタイムに把握できるようにしました。

コックピットを包み込むように設置されたドーム型スクリーン。シールド機内部を超広角映像で見渡せる

コックピットを包み込むように設置されたドーム型スクリーン。シールド機内部を超広角映像で見渡せる

シールド機は、普通の重機のように地上周辺だけ見えればよいわけではありません。セグメントの組み立て作業などで、機内では全方向に各設備が動き、作業の進み具合も気になります。そうした状況で、広い視界を持つドーム型スクリーンを採用した意味は大きいでしょう。

操作する人にとっては、「シールド機内の空気」まで肌に感じながら施工に参加できるような価値がありそうです。

今回の遠隔操作では、従来の遠隔操作システムと比べて操作性が向上し、日本と台湾の間でも通信エラーを問題なく検知できたことを確認したとしています。

今後は、通信エラー時にシールドマシンを安全に停止できる機構を実装し、1カ所から複数現場を遠隔操作できる機能や、XRゴーグルを用いて場所や設備に依存せず遠隔操作が可能なシステムの開発、さらに教育・訓練用途への活用も進める方針です。

熟練者不足が深刻になる一方の建設業にとって、貴重な熟練者がどこにいても、様々な現場で活躍してもらう環境を整えることは、建設DXの大きな柱になりそうですね。

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