管理人のイエイリです。
建設現場で地味に、でも確実に難易度が高い作業の一つが「削孔」です。特に、既設構造物を避けたり、限られたスペースで施工したりする場合、穴を意図的に曲げながら掘り進める“曲がり削孔”は、まさに職人芸の世界でした。
送り量をどうするか、回転数をどう変えるか。少しの判断ミスで計画線から外れ、修正に時間がかかることも珍しくありません。
そのため、現場では「この作業はベテランでないと任せられない」という状況が続く一方、技能者不足が進む建設業界では、こうした高度な技能伝承をどう支えていくかが課題になっています。
そこで五洋建設(本社:東京都文京区)は、ベテランの職人の操作判断を新人オペレーターに対して、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIがアドバイス
してくれる「曲がり削孔AIガイダンスシステム」を開発したのです。(五洋建設のプレスリリースはこちら)
このシステムでは、削孔機の先端付近に設置したセンサーから、削孔中のビット方向や深度を取得します。
これらの情報をもとに、現在の削孔ビット位置を算出し、あらかじめ設定した計画線と比較します。 地上側のシステムでは、そのズレをリアルタイムで演算し、修正するために有効と判断される操作内容をAIがガイダンスとして生成します。
要するに、送り量(押し込み量)や回転数といった操作項目について、「今、どう直せばいいか」を横で教えてくれるシステムなのです。
オペレーターは、その表示を見ながら通常どおり手動で操作します。削孔が進むにつれてガイダンスは随時更新され、状況に応じた判断を支援する仕組みです。
削孔機そのものを自動制御するのではなく、人の操作を前提にしている点が、このシステムの特徴です。
五洋建設はこのシステムの実証実験を行い、32m長の曲線削孔を実施しました。その結果、経験の浅いオペレーターが操作した場合でも、ベテランオペレーターと
同等レベルの削孔精度
が確認され、作業時間も約20%短縮されたとのことです。
少し視点を広げると、この技術は建設機械の操作支援の考え方を変える技術とも言えそうです。
約30年前にトンネル掘削用のシールドマシン制御などで流行った「ファジィ制御」などでは、人があらかじめルールを書いて制御する方式が主流でした。しかしそれには、ルール設計のために熟練者の暗黙知を言語化する手間ひまが必要でした。
一方、今回のAIによるガイダンスは、ベテランの操作結果データとしてAIに学習させるだけで、その「コツ」をガイドという形で提示できます。
人がすべての判断ルールを言語化しなくてもよい点は、経験と勘に頼ってきた様々な作業の技能伝承のハードルを下げてくれそうですね。























