管理人のイエイリです。
裸の地山と直接、向き合いながら施工を進めていく山岳トンネル工事は、自然が相手なだけに岩盤の崩落や出水など、危険と隣り合わせです。
これまでもボーリング調査などで、断層や湧水帯の位置を調査することは行われてきましたが、断片的な情報だと予測できることにも限りがあります。
そこで、大林組は地山の予測に3DのCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を導入し、さらに精密な予測を行うことを可能にした「予測型山岳トンネルCIM」を開発・実用化しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
岩盤が崩落する位置
も、正確に予測することができるのです。
岩盤内に複数の割れ目で切り取られた「キーブロック」という岩の断片の下を、トンネルが掘り抜いたとき、掘削時に崩落することがあります。
割れ目の位置や角度を3DのCIMモデルに集約することで、こうしたキーブロックの形や位置を突き止められるようにしたわけですね。
割れ目の位置を突き止める方法には、大林組が2008年に開発した「トンネルナビ」というシステムを使っています。
トンネル最前部の切り羽に、発破用の爆薬を仕掛ける穴を削孔機械で掘るとき、そのデータを1秒ごとに収集して地山の硬軟や断層破砕帯の有無を予測す.るものです。
そして、これまた大林組が開発したボーリング孔内観察装置で、掘削した穴の中をカメラでのぞき、
割れ目の方向や角度
までも調査し、その結果をCIMモデルにインプットしていくというわけです。
このシステムは国土交通省九州地方整備局発注の椿山トンネル(宮崎市)など複数のトンネル工事で導入されているそうです。
大林組は今後、山岳トンネル工事の設計から施工後までを、効率的にマネジメントできるツールとしてCIMを活用していく方針です。
3DのCIMモデルにどんどんインプットしていくと、岩盤の崩落しそうな場所もピンポイントで見える化できるのですね。CIMは未来を予測するツールとしても使われる時代になってきました。